タラノキ培養体由来根組織からの大量増殖育苗

タイトル タラノキ培養体由来根組織からの大量増殖育苗
担当機関 広島農技セ
研究期間 1998~2002
研究担当者 古谷 博
池田好伸
発行年度 2002
要約 組織培養で得たタラノキ再生植物の不定根を用い、2,4-D 1~2mg/l添加MS培地でカルスを誘導する。ホルモンフリー培地で継代培養を行えば、多芽体・不定胚による大量増殖が可能で、ハイポネックス0.3g/l液肥施用によりセル成型苗に育成できる。
キーワード タラノキ、組織培養、大量増殖、不定根、不定胚、セル成型苗
背景・ねらい タラノキの種苗増殖は根挿し繁殖で行われているが、増殖率が低く、断根による立枯れ病の発生等により母株の維持管理が難しいため、新たに導入する場合の種苗大量増殖には適さない。また、葉柄からの不定胚誘導の報告はあるが育苗面からの検討がされていない。そこで、大量の培養苗を簡易な手法で育成するためにin vitroで形成した培養体の不定根切片を用いた器内大量増殖並びに育苗法について検討し、種苗生産システムを確立する。
成果の内容・特徴 1.
新梢側芽から茎頂を摘出し、BA0.1+NAA0.1mg/l添加のMS培地(ショ糖3%、寒天0.8%、pH5.7)に置床して25℃、3,000lx、16時間照明下で培養すると再生植物が得られる。
2.
再生植物のin vitro不定根切片を外植体(長さ約1.5cm)として用い、2,4-D1~2mg/l添加のMS培地(ショ糖3%、寒天0.8%、pH5.7)に置床し、25℃、暗黒条件下で培養すると100%カルスを形成する。
3.
カルスは、外植体置床25~30日後にホルモンフリーMS培地に移植し、25℃、3000lx、16時間照明下で培養すると、多芽体・不定胚(培養体)を形成する(表1、図1A)。
4.
培養体は、ホルモンフリーMS培地に分割移植して継代培養すると、生育と共に二次不定胚を形成し、30日間で4~5倍に増殖する。外植体置床4か月(継代培養2回)後には、生体重3~5gとなり、50本以上の培養体が得られる(表1、図1B)。
5.
シュートが伸長した培養体は、バーミキュライトを詰めた72穴のセル成型トレイに分割移植し、ハイポネックス(0.3~0.5g/l)液肥を施用して密閉容器で管理するとセル成型苗に育成できる(表2、図1C、図2)。
6.
培養苗の形態は従来の根挿し繁殖苗と差は見られず、圃場に定植後の生育も順調で栽培に問題はない。
成果の活用面・留意点 1.
茎頂以外の培養部位(葉柄等)から再生した植物の不定根でも利用可能である。
2.
外植体に用いる根切片は、不定根形成後の早い時期の方が不定胚形成率が高いが、順化可能な大きさになった再生植物の根でも利用できる。
3.
セル成型トレイで育苗した培養苗は、密閉容器の蓋を開けて順化してからポットへ植え付け、1か月間養成後、圃場に定植する。
図表1 219318-1.gif
図表2 219318-2.gif
図表3 219318-3.gif
図表4 219318-4.gif
カテゴリ 育苗 栽培技術 たらのき 繁殖性改善

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