ナタネ油粕と活性炭スラリーを組み合わせた水田雑草防除

タイトル ナタネ油粕と活性炭スラリーを組み合わせた水田雑草防除
担当機関 島根県農業試験場
研究期間 1999~2002
研究担当者 高橋眞二
発行年度 2002
要約 ナタネ油粕の表面散布と活性炭スラリーの2回の噴霧散布を組み合わせた処理により化学合成除草剤処理とほぼ同等の水田雑草防除効果が得られ、基肥窒素無施用とすることで化成肥料の節減も図られ、「環境にやさしい」良質米生産技術として有効である。
キーワード 活性炭スラリー、雑草防除、水稲、水田雑草、ナタネ油粕
背景・ねらい 持続的農業生産方式による農業の推進と有機農産物等の生産支援のため、稲作においても化学合成除草剤及び化成肥料の使用を控えた多様な生産技術の開発が強く求められている。そこで既存の再生紙マルチ、アイガモ、コイ利用技術などと異なる「環境にやさしい」水田雑草防除技術の確立をはかる。
成果の内容・特徴 1.
ナタネ油粕の表面施用や活性炭スラリー(ヤシ殻活性炭、デンプンを加工した分散剤および水からなり、墨汁状の黒い液体。商品名は液体マルチ2000ブラック)の噴霧散布は、いずれも単独では十分な雑草防除効果が認められない。しかし、ナタネ油粕200g/m2を移植後3日に水田表面へ湛水散布する処理と、活性炭スラリーを移植後5日に20g/m2、移植後12日に10g/m2、それぞれ水道水で20倍に希釈し噴霧散布する処理を組み合わせた場合は、雑草防除効果が高く、慣行の化学合成除草剤処理とほぼ同等の効果が得られる(表1)。
2.
ナタネ油粕には肥料としての効果もあるため活性炭スラリーとの組み合わせ処理では、慣行に準じ基肥窒素を2.5~3g/m2施用すると、水稲の出穂期が3~6日遅くなり、稈が長く、穂数はやや多く、倒伏程度が大きくなって、品質が低下する傾向がある(表2)。
3.
ナタネ油粕と活性炭スラリーの組み合わせ処理を行う場合、基肥窒素を無施用とする ことにより、稈長の伸長を抑制し倒伏を軽減することができる。この場合、穂数の減少により収量は低下するが、登熟歩合が高まるため、未熟粒の減少及び良質粒の増加が起こり、品質が向上する(表2)。
成果の活用面・留意点 1.
「環境にやさしい」良質米生産方法として利用できる可能性がある。ただし、ナタネ油粕と活性炭スラリーは特定農薬候補として検討中のため、現在は雑草防除目的のための使用はできない。
2.
ナタネ油粕と活性炭スラリーの組み合わせ処理は、10アール当たり資材費が25,000円程度、散布に伴う労働時間が約3時間かかる。
3.
水深が浅いと抑草効果が劣るので湛水深は7~10cmとし移植後40日頃まで入水する。なお、漏水が激しい圃場では抑草効果が劣る。
4.
ナタネ油粕の散布後分解に伴う異臭が発生する。また、還元障害による水稲の生育抑制が起こる場合がある。
図表1 219325-1.gif
図表2 219325-2.gif
カテゴリ 肥料 病害虫 有機農産物 加工 雑草 除草剤 水田 水稲 特定農薬 なたね 防除

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