早生酒造好適米「風鳴子」の育成および奨励品種採用

タイトル 早生酒造好適米「風鳴子」の育成および奨励品種採用
担当機関 高知県農業技術センター
研究期間 1991~2002
研究担当者 岩崎昭雄
亀島雅史
溝渕正晃
上東治彦(高知工技セ)
中村幸生
発行年度 2002
要約 高知県の早期栽培向き酒造好適米品種「風鳴子」を育成し、奨励品種に採用された。「風鳴子」は「一本〆」とほぼ同熟期で大粒、いもち病に強い。収量は同程度で、外観品質は良く、酒造適性及び醸造した酒の特性とも良好である。
キーワード 酒造好適米、早生、品種育成、葯培養、風鳴子
背景・ねらい 高知県における酒造好適米の生産量は極めて少ない。しかし、酒造業界においては地酒や特定銘称酒の販売が堅調であることから、県産米を用いた地酒生産への意向が強く、本県独自の酒造好適米の新品種育成への期待が大きい。普通期栽培では「吟の夢」が栽培されているが、早期栽培では小面積での「一本〆」の栽培のみで本県独自の品種はなく、農家からの要望が強い。
そこで、大粒でタンパク質含有率が低く、吸水性、消化性などの酒造適性に優れ、かつ本県の気象条件に適した早生の酒造好適米を育成し、奨励品種に採用する。
成果の内容・特徴 1.
育成経過
「風鳴子」は、1993年に「露葉風」を母本に、新潟酒28号(のちの「一本〆」)を父本として交配し、そのF1の葯培養により固定・育成した早生の酒造好適米品種である。
2.
特性
所内4月中旬移植における「一本〆」と比較した特性は次のとおりである。
1)
出穂期および成熟期はほぼ同時期で、「コシヒカリ」より3日程度早い(表1)。
2)
稈長は10cm程度長く、穂長もやや長い。倒伏にはやや弱い。穂数はやや少なく、草型は「穂重型」を示す(表1)。
3)
玄米千粒重は27.5gでやや重く、外観品質はやや優れ、収量性は同程度である(表1)。
4)
いもち病抵抗性は、葉いもち、穂いもちとも「強」を示し優れる(表1)。
5)
70%搗精試験では、搗精時間はややかかるものの、無効精米歩合はやや少なく良好である(表2)。
6)
吸水性は優れ、速度比も良い。また、消化性はほぼ同等である(表2)。
7)
醸造した酒の特性では、醪の溶解性は同等で、カプロン酸エチル等、吟醸香が高く、酒造会社における官能評点でも優れる(表3)。
成果の活用面・留意点 1.
2001年に「風鳴子」として品種登録申請を行い、2002年に奨励品種に採用された。
2.
「風鳴子」は玄米千粒重が大きく、播種粒数を「コシヒカリ」と同程度とするためには、播種量を2割程度増量する。
3.
精玄米の篩い目を2.0mmとし良質化を図る。
4.
適期刈り取りを行い、急激な乾燥を避け胴割れが発生しないようにする。
5.
過度の施肥はタンパク質含有率を上昇させ、醸造における雑味の原因となるので行わない。
6.
適用範囲は高知県の早期栽培地帯とする。
図表1 219331-1.gif
図表2 219331-2.gif
図表3 219331-3.gif
図表4 219331-4.gif
カテゴリ いもち病 乾燥 酒造好適米 新品種育成 施肥 抵抗性 播種 品種

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる