タイトル | 収穫時期が小麦「ニシノカオリ」の製パン適性に及ぼす影響 |
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担当機関 | 広島農技セ |
研究期間 | 1999~2001 |
研究担当者 |
浦野光一郎 古土井悠 土屋隆生 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 小麦「ニシノカオリ」では、子実水分約40%で早刈りするとパンの内相が硬く白度も低く、官能評価が劣るが、子実水分約30%での収穫は子実水分約15%のものと同様にパンの内相が柔らかく白度も高く、官能評価が優れる。 |
背景・ねらい | 本県の中山間地域における小麦は収穫が梅雨時期に当たり、雨による品質低下を防ぐため早刈りとなり高水分で収穫されることが多い。しかし、高水分収穫が小麦「ニシノカオリ」の製パン適性に及ぼす影響は十分に明らかになっていない。そこで、小麦「ニシノカオリ」の高品質生産を目的に、収穫時期を変えて収穫時の子実水分が製パンに関連する特性および官能評価に及ぼす影響を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 収穫時期が遅いほど子実水分が低下し、千粒重、容積重が重くなり、検査等級が優れる(表1)。 2. グルテンの量と質を総合的に表すSDS-セディメンテーション値は、子実水分約40%以上で収穫したものは低く劣るが、子実水分約30%と子実水分約15%のものは同程度に高く優れる(図1)。 3. パン比容積(パン体積/パン重)は、子実水分約40%以上で収穫したものは子実水分約30%のものに比べて2000年産は小さいが、2001年産は同程度で年次間差が大きい。子実水分約15%で収穫したものは両年とも子実水分約30%のものと同程度で年次間差が小さい(図1)。 4. パンの内相は、子実水分約30%で収穫したものに比べて、子実水分約40%以上のものは硬く、白度も低いが、子実水分約15%のものは硬さと白度がほとんど変わらない(図2)。 5. パンの官能評価は、子実水分約30%で収穫したものに比べて、子実水分約40%以上のものは劣るが、子実水分約15%のものは差が認められない(図3)。 6. 以上の結果、子実水分約40%の早刈りは製パン適性を低下させるが、子実水分約30%での収穫は子実水分約15%のものと同様に製パン適性が良好である。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 適期収穫を指導する際の参考にする。 2. 本成果はコンバイン収穫+加温乾燥方式を想定したもので、バインダ収穫+架干乾燥方式での確認はしていない。 3. 本成果は両年とも収穫期前後に降雨が少ない年のものであるので、アミログラムの最高粘度の低下が起こる多雨年での検討が必要である。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 乾燥 小麦 中山間地域 |