タイトル | 植物内生細菌処理による不良環境条件でのホウレンソウの発芽率向上効果 |
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担当機関 | 京都農資セ |
研究期間 | 1997~2001 |
研究担当者 |
小坂能尚 津田和久 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 植物内生細菌Enterobacter cloacae SM10株の懸濁液にホウレンソウ種子を浸漬処理して播種すると、土壌中の水分過剰や不足、高温、塩類集積などの不良環境条件におけるホウレンソウの発芽率が向上する。 |
キーワード | 植物内生細菌、発芽率、ホウレンソウ、Enterobacter cloacae |
背景・ねらい | ホウレンソウ種子は、土壌中の水分過剰や不足、高温、塩類集積などの栽培条件では著しく発芽率が低下する。そこで、このような不良環境条件において、Enterobacter cloacae SM10株を処理したホウレンソウ種子の発芽率向上効果について検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 植物内生細菌としてホウレンソウ萎凋病の発病抑制効果を有するEnterobacter cloacae SM10株を用いる。 2. 土壌水分を調整した殺菌育苗培土を詰めたポットに、SM10株の細菌懸濁液(1011 cfu/ml)に22℃、24時間浸漬処理したホウレンソウ種子(品種 おかめ、ネーキッド種子)を播種する。土壌水分を圃場容水量の80%に調整した条件では、SM10株処理区と滅菌蒸留水に浸漬処理した対照区の発芽率に差はないが、それより土壌水分が多いあるいは少ない条件ではSM10株処理区の発芽率は対照区より有意に高い(図1、2)。 3. 30℃の高温条件、塩類集積を想定した高濃度NaCl溶液潅水条件でも、SM10株処理によってホウレンソウの発芽率が明らかに向上する(表1)。 4. 以上のことから、SM10株を種子処理することにより、ホウレンソウ萎凋病の発病抑制効果と併せて、不良環境条件下におけるホウレンソウの発芽率が向上する効果が期待できる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. SM10株の種子処理により、土壌水分過剰条件下でのコムギ、キュウリ及びニンジンでも同様の効果が認められる。 2. 作物の種類や土壌条件等によって、発芽率向上効果が現れる不良環境条件は異なると考えられる。 3. 種子へのSM10株の効果的、効率的なコーティング処理方法の開発が必要である。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
カテゴリ | 育苗 きゅうり 栽培条件 にんじん 播種 品種 ほうれんそう |