タイトル | クモヘリカメムシ発育 |
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担当機関 | 兵庫農総セ |
研究期間 | 2001~2005 |
研究担当者 |
山下賢一 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 乳熟~糊熟期の冷凍籾を餌としてクモヘリカメムシの累代飼育ができる。クモヘリカメムシの卵期間の有効積算温度は145日度(≧8.2℃)である。幼虫期間の有効積算温度は371日度(≧10.1℃)である。新成虫の羽化から産卵までの有効積算温度は263日度(≧9.5℃)である。 |
キーワード | クモヘリカメムシ、飼育方法、発育零点、有効積算温度 |
背景・ねらい | 兵庫県では近年、斑点米の発生が多くなり、それに伴う玄米の品質低下が大きな問題となっている。しかし、斑点米カメムシ類の主要種であるクモヘリカメムシは基本的な生態が明らかになっていない。そこで、クモヘリカメムシの卵・幼虫の発育零点および発育速度を明らかにし、現地でのクモヘリカメムシの発生回数・時期を推測する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 直径約10cmのプラスチックカップを加工してケージを作り、底面給水と各種イネ科植物の子実を餌として累代飼育が可能である。餌として、乳熟~糊熟期の籾、糊熟期のイタリアンライグラスの子実、糊熟期のイヌビエの子実が適している。この場合、成虫羽化率は80%以上である(表1)。 2. 卵期間は18℃で14.90±2.63日、22℃で10.42±1.18日、25℃で8.73±0.68日、30℃で6.69±0.71日である。これらの結果から、卵の発育零点は8.1℃、卵期間の有効積算温度は147日度である(表2)。 3. 乳熟~糊熟期の冷凍籾を餌とした場合の幼虫の発育期間は18℃で47.12±1.91日、22℃で31.45±1.70日、25℃で25.20±2.53日、30℃で18.67±2.06日である。これらの結果から、幼虫の発育零点は10.1℃、幼虫期間の有効積算温度は370日度である(表3)。 4. 乳熟~糊熟期の冷凍籾を餌とした新成虫の産卵前期間は18℃で29.29±4.19日、25℃で17.33±5.74日、30℃で12.40±3.22日である。これらの結果から、新成虫の産卵可能な限界温度は9.6℃、羽化から産卵までの有効積算温度は256日度である(表4)。 5. クモヘリカメムシの有効積算温度が卵期間:147日度、幼虫期間:370日度、産卵前期間:256日度であることと、越冬成虫の休眠覚醒期間を考慮して、年間2世代経過すると推測される。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 本成果は、クモヘリカメムシ防除対策上の参考資料とする。 2. 越冬成虫が6月中旬にイネ科雑草に現われ、年間2世代を経過することが観察された。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
図表5 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 イタリアンライグラス 加工 カメムシ 雑草 斑点米 斑点米カメムシ 防除 |