タイトル | イネごま葉枯病のアシカキからの伝染 |
---|---|
担当機関 | 島根農試 |
研究期間 | 1990~2002 |
研究担当者 |
磯田 淳 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 水田内や畦畔、休耕田の難防除雑草であるアシカキに発生した葉枯病は、イネごま葉枯病の伝染源になる。 |
キーワード | イネ、ごま葉枯病、難防除雑草、アシカキ、葉枯病、伝染源 |
背景・ねらい | 近年、畦畔や休耕田などの管理が不十分となり、ほふく性のイネ科多年生雑草の発生が増加している。これら雑草は水田で発生すると除草剤による制御が困難なものが多い。このイネ科多年生雑草の一種であるアシカキに発生した葉枯病がイネのごま葉枯病の伝染源となる事例があった。これまでにアシカキ葉枯病がイネごま葉枯病の伝染源になるという報告はないので、その実態を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 畦畔に葉枯病が多発生しているアシカキが繁茂している水田で、イネのごま葉枯病の発生状況を調査したところ、畦畔のアシカキに近いほどごま葉枯病の病斑数は多く、離れるほど減少する(図1)。 2. 葉枯病の発生しているアシカキと無発生のアシカキをそれぞれ水田内に移植し、イネのごま葉枯病の発生推移を調査すると、葉枯病の発生しているアシカキを中心にごま葉枯病の発病株が増加する(図2)。 3. アシカキ葉枯病の病斑からの分離菌をイネに、イネごま葉枯病の病斑からの分離菌をアシカキに接種すると病徴が再現できる。 4. アシカキ葉枯病は罹病茎葉で越冬し、イネの移植時期である5月初めには展開葉に病斑を形成する(図3)。 5. 島根県内で1999年に調査した200地点の休耕田と水田畦畔の内の57地点にアシカキがあり、この内の75.4%で葉枯病が発生し、イネごま葉枯病の伝染源となっている事例がある。 |
成果の活用面・留意点 | 1. アシカキの同定は穂の形質により行うが、穂のない時期には「水田に発生するイネ科多年生雑草の葉身と葉鞘の形態に基づく検索表」(森田ら、1998)を用いる。ただし、この検索表は水田内で生育するイネ科多年生雑草を対象としているので、畦畔や休耕田の植物の同定が必要な場合は、現地から持ち帰りコンテナ等で育成し開花させてから行う。 2. イネごま葉枯病の伝染源となるイネ科多年性植物として、マコモ、サヤヌカグサ等の報告がある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 ごま 雑草 除草剤 水田 難防除雑草 |