タイトル | トマト黄化えそウイルス(TSWV)の感染キク親株から挿し穂への伝染率 |
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担当機関 | 広島農技セ |
研究期間 | 2001~2001 |
研究担当者 |
松浦昌平 石倉 聡 梶原真二 |
発行年度 | 2002 |
要約 | TSWV感染キク親株の茎葉でウイルスは局在し、感染親株から挿し穂へのウイルス伝染率は1~6月にかけて25~40%程度である。また、感染親株の根でもウイルスは局在し、冬期に検出率が高い。 |
キーワード | トマト黄化えそウイルス、キク、親株、挿し穂、伝染率、局在 |
背景・ねらい | 広島県島嶼部の露地秋ギク栽培においてTSWVによるキクえそ病が問題化している。無病徴感染親株から挿し穂への栄養繁殖を介しての伝染は本圃における第一次伝染源として重要と思われる。そこで、TSWV感染キク親株におけるウイルスの局在性と挿し穂への伝染率を調査する。 |
成果の内容・特徴 | 1. TSWV感染秋ギク親株(品種:精興の館)から採穂した挿し穂のウイルス感染率は1~6月にかけて25.0~38.5%で推移する。4月以降、病徴を発現する挿し穂が認められる(図1)。 2. 挿し穂内の部位別ウイルス検出頻度は多様であり、検出部位に一定の傾向は認められない(図1)。また、陽性個体の平均ウイルス濃度は頂芽で低い傾向が認められる(図2)。 3. 親株から5月に採穂した挿し穂を隔離下で栽培した結果、10月の開花期までに18.8%の株が発病する(表1)。 4. A415値0.02~0.03の擬陽性個体(陰性対照平均A415値±SE:0.006±0.001)は、より検出感度の高い総RNA抽出RT-PCRで全て陰性である(データ省略)。 5. 親株の根では1月にELISA検出率が最も高く(60.0%)、その後減少し4月以降は0%になる場合も見られる(図3)。 6. 以上から、TSWVはキク親株の茎葉および根で局在し、茎葉のウイルス局在に起因する感染親株から挿し穂への伝染率は冬~春期にかけて25~40%程度と推定される。 |
成果の活用面・留意点 | 1. TSWV感染秋ギク親株から挿し穂への伝染率は25~40%程度と高いため,前年発病した品種は無病徴でも更新すべきである。秋ギク親株におけるTSWVの正確な検定は,複数箇所の茎葉あるいは冬季の複数箇所の根を検定するのが望ましいと考えられる。 2. キク感染親株では、無病徴でもウイルス濃度が高い場合が多く、アザミウマによるウイルス獲得・伝染源として注意が必要と考えられる。 3. 本研究で得られた結果がキクで普遍的に見られる現象であるかを他の品種でさらに検討する必要がある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | きく 繁殖性改善 品種 |