タイトル | 排水性の改善による水田からのメタン発生量の抑制 |
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担当機関 | 京都府農業総合研究所 |
研究期間 | 1999~2001 |
研究担当者 |
松本次郎 高橋克征 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 暗きょを設置してほ場の排水性を改善すると、土壌中の熱水可溶性ヘキソース含量が減少し、中干し後の酸化還元電位も高く推移する。これにより水稲栽培期間中におけるメタン総発生量は減少する。 |
キーワード | メタン、暗きょ、水田、排水性、酸化還元電位 |
背景・ねらい | 平成9年にCOP3で採択された京都議定書では、我が国は2010年頃までに1990年比で温室効果ガス排出量を6%削減することになっている。今後農業分野においてもこれまで以上に温室効果ガスの抑制を求められることが予想される。 水管理や有機物の施用は、水田からのメタン発生に影響を及ぼすことが明らかになっているが、ほ場の排水性改善によるメタン発生量の抑制効果については十分な資料が得られていない。そこで、暗きょ設置に伴う排水性の改善によるメタン発生量の抑制効果を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. ヘキソースは、還元状態の土壌中でメタン発生の基質となる。暗きょ設置ほ場では未設置ほ場に比べて、作付け前の土壌中の熱水可溶性ヘキソース含量が少なく、このためメタン発生量は少なくなる(表1)。これは非作付け期に稲わらの酸化分解が促進されるためと考えられる。 2. 暗きょ設置ほ場では、未設置ほ場と比べて、中干し後から測定終了まで酸化還元電位(Eh)が上昇し続け、土壌の酸化が進み、中干し後におけるメタン発生量の減少割合が57%となり、中干し前の減少割合31%と比べると大きい(図1、2)。なお、中干しは、湿った状態の土壌で軽く亀裂が入る程度までとする。 3. 暗きょを設置することにより、メタン発生量は暗きょ設置ほ場で6.15g/m2、暗きょ未設置ほ場で10.79g/m2となり、暗きょ設置ほ場では、未設置ほ場に比べて、水稲栽培期間中のメタン発生量が43%減少する(図1、表2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 一旦暗きょの排水口を開けて中干しをすると湛水することが困難になる場合があり、稲作期間中は暗きょの排水口(水甲)を閉めたまま管理しているケースが見られる。このため、メタン発生抑制の観点から、かんがい水の確保が可能であれば、中干し時に水甲を開け、土壌の酸化を促進する水管理をする必要がある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 水田 水稲 排水性 水管理 |