人工衛星データを用いた荒廃水田の判別

タイトル 人工衛星データを用いた荒廃水田の判別
担当機関 広島農技セ
研究期間 1999~2002
研究担当者 加藤淳子
上原由子
谷本俊明
発行年度 2002
要約 4~9月および2月のSPOT衛星データからNDVI(正規化植生指数)を求め、各時期ごとに設定した閾値を利用すれば、荒廃水田の判別ができる。
キーワード NDVI、SPOT、人工衛星、荒地、水田、閾値
背景・ねらい 広島県では、谷底や急傾斜地など立地環境が不利な農地が各地にみられる上に、高齢化や過疎化により、耕作放棄地が増加しつつある。人工衛星データは一度に広範囲の情報を入手できることから、転作確認や土地利用状況の把握などへの利用が期待されている。そこで、人工衛星データから算出したNDVIより地表の植物量を測定し、土地利用別のNDVI推移の特徴を利用して、過去(1990年)に水田であったが現在は荒地になっている地点の判別を行う。
成果の内容・特徴 1.
SPOT衛星データを幾何補正した後、Band2(赤色:610~680nm)とBand3(近赤外:790~890nm)の値から、NDVI=(Band3-Band2)/(Band3+Band2)を計算する。
2.
過去の水田範囲は、ランドサットデータ(1987年5、6月および1990年5月)を教師なし分類法でクラスタ分けし、2万5000分の1地形図を参考として判別する。
3.
土地利用別のNDVIの推移は、水田由来の荒地(以下、荒地。ススキやセイタカアワダチソウを主体とした雑草が生い茂る休耕あるいは放棄田)が7、8月をピークとする山形を示し、水稲、ダイズ栽培田が、5、6月に低く、その後7、8月にかけて急激に増加する(図1)。
4.
5月のNDVIの閾値を0.26以上とすれば一応荒地を判別できるが、保全管理田(作物は植えられていないが、年に数回、耕うんや草刈など何らかの管理がなされている田)、飼料作物栽培田及び山林際の誤判別が含まれる(図2、左)。
5.
保全管理田と飼料作物栽培田では地点ごとに時期は異なるが、刈り取りや耕うんに伴ってNDVIが一時的に低下する時期がある(図1)。
6.
荒地を判別するためのNDVIの閾値は、土地利用別のNDVI推移の特徴を利用して、4月0.26以下、6月0.26以上、7月0.29以上、8月0.34以上、9月0.24以上とする。複数時期の衛星データを用いることで、保全管理田、飼料作物栽培田を含まない荒地分布図が作成できる(図2、地点A・B)。
7.
水田と山林の境界部は誤判別が起こりやすいが、2月のデータのNDVI0.04以下および教師なし分類法によるクラスタ分けにより山林を判別すれば判別精度が向上する(図2、地点a~c)。
8.
東広島市及び賀茂郡周辺のデータにより設定した閾値は県内他地域(高田郡、双三郡周辺)にも適用可能である。
成果の活用面・留意点 1.
判別可能な土地利用区分をさらに増やすことにより、行政統計や土地利用図等の修正への利用が考えられる。
2.
山林部の誤判別を減らすには2月のデータが有効だが、積雪がある地点では冬季のデータが利用できない。また、雲や霧の発生により衛星データが使用できない場合がある。
3.
他の地域での適用にあたっては、NDVIの閾値の妥当性を確認する必要がある。
図表1 219380-1.gif
図表2 219380-2.gif
カテゴリ 病害虫 傾斜地 雑草 飼料作物 水田 大豆

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