タイトル | ビニールハウスの廃材を利用した簡易シカ・イノシシ侵入防止柵 |
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担当機関 | 奈良農技セ |
研究期間 | 1998~2002 |
研究担当者 |
井上雅央 角山美穂 岩本和彦 前川寛之 米田健一 國本佳範 |
発行年度 | 2002 |
要約 | ビニルハウス廃材の鉄パイプを骨格とし、防風ネットとイノシシネットを合わせ張りしたシカ・イノシシの潜り込みに強い、低コストの侵入防止柵を開発した。 |
キーワード | ハウス廃材、シカ、イノシシ、簡易防止柵、潜り込み防止 |
背景・ねらい | 山間地域における農作物の野生獣被害防止では、イノシシに対してはトタン柵や電気柵が、またシカに対してはシカよけ網などが使用されている。しかしながら、これらの方法は、零細な小規模農業者にとってはコストが高く、設置や管理に知識や労力を要するなどの問題点があり、栽培者の被害防止意欲低下の一因となっている。 そこで、維持管理が容易なことを条件に、低コストで設置できるシカ、イノシシ同時対応が可能な簡易侵入防止柵を開発した。 |
成果の内容・特徴 | 1. 廃材の鉄パイプ(直径19mmまたは22mm)を支柱骨格として使用するため100mあたりおおよそ25,000円ときわめて低コストで作製できる。(表1) 2. 骨格は高さ約1.2~1.5mの支柱間を3本の横バー(地表部、50cmおよび1mの高さ)によって連結するため、極めて強度が高く、従来の単独支柱のような押し倒しが起きない(図1)。 3. 骨格に沿った防風ネットと、その外側に斜めに広げるイノシシネットの二重構造とする。イノシシネット下端には、支柱用にパイプを切断した際に生じた切れ端にハウスバンド線を通した数珠状のオモリを装着するため、下方からの潜り込みと跳躍による飛び込みの両方が阻止できる(図1)。 4. 高さ約1.2~1.5mで、電気等を使用しないため、設置時に高所作業や危険作業が不要である。 5. シカ、イノシシを供試した放飼試験は実施できなかったが、県下のいずれの現地試験圃場でも侵入が阻止されたことから、侵入防止効果は高いと判断される(表2)。これらの他に1998年度より各地に設置した猿害防止柵<猿落君>のサル+シカ、イノシシ対応型は柵の下部は今回とほぼ同じ構造であり、いずれもイノシシ、シカの侵入を阻止した。 6. シカ、イノシシの他、カモシカにも対応できる。また、新たにサルの出没が始まった場合には、容易に猿害防止柵<猿落君>に改修できる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 被害防止柵の設置とともに、シカやイノシシが集落をエサ場と認識しないよう、耕作放棄地の刈り払いなどの集落環境の改善を並行して実施することが重要である。 2. 平坦な圃場では支柱の高さは1.2cmでよいが、急な斜面に設置する場合は支柱の高さを1.5m程度に高くする。 3. 奈良県下の現地集落では、<シカ・イノシシ用猿落君>との呼称が自然発生的に定着しつつあるので、混乱をさけるため以後はこの呼称を踏襲する。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | コスト シカ 低コスト |