タイトル | 果樹産地への労働力補完システム導入のポイント |
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担当機関 | 岡山農総セ |
研究期間 | 1999~2001 |
研究担当者 |
山本晃郎 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 果樹産地で労働力補完システムを導入する場合には、産地としての労働力需給調整の必要性の判断、状況に応じた労働力補完タイプの選択、労働力提供者への技術力向上対策の3点を検討する必要がある。 |
キーワード | 果樹産地、労働力、補完システム、補完タイプ |
背景・ねらい | 岡山県の果樹生産は、担い手の高齢化や減少によって労働力不足が深刻になっており、担い手の労働力を新たに補完する必要性が高まっている。そこで、果樹産地で導入可能な労働力補完のタイプを整理するとともに、実態調査から労働力補完システムを導入していく場合のポイントを明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 労働力補完のタイプを「産地としての労働力需給調整機能(主体)の有無」と「労働力補完の内容」によって、さらに後者を「労働力補完の方向」によって分類すると、8通り14タイプに分類できる(表1)。 2. 果樹産地で労働力補完システムを検討する場合に留意する点は、産地としての労働力需給調整の必要性の判断と労働力の量的不足の解消方法(労働力補完タイプ)の選択、及び必要とする労働力の質的検討(技術力向上対策)の3点である(図1)。 3. 周辺地域での農家の減少や兼業化、担い手の高齢化により、農家が独自に労働力を調達することが難しくなってきている産地では、農家の労働力確保の負担を軽減し、効率的に労働力を確保していく点から、労働力需給調整主体を形成し、産地として労働力補完のシステム化を図る必要性が高い。 4. 労働力の量的不足の解消方法を検討する場合、産地を構成する農家の扶助意識と産地を取り巻く地域の潜在労働力の量を主に考慮する必要がある。そして、農家間の互助意識が高い場合には相互の労働力補完が期待できるため、また潜在労働力の量が多い場合には外部からの労働力の調達が相対的に容易であるため、それぞれ労働力補完タイプの選択肢が広がる(図2)。 5. 労働力提供者の技術力向上対策については、果樹作業には熟練を要する作業があることから、作業内容の難易度に応じた段階的な補完システムが必要になる。そのため、労働力提供者の技術力向上に向けた研修体系づくりを同時に進める必要がある(図3)。 6. 以上から、果樹産地に労働力補完システムを導入する場合には、産地をまとめる立場にある農協や生産者部会等が可能な限り労働力の需給調整主体として介在し、労働力提供者への技術研修を伴わせながら、産地状況に即した補完タイプを選択・検討していくことが重要になる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 果樹産地で労働力補完システムを検討する場合の判断基準として援用できる。 2. 外部から労働力を調達する場合、農外部門との労働力調達競争が生じる可能性があることに留意する必要がある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
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