花粉媒介昆虫と天敵を利用した施設ナス栽培体系の経済性

タイトル 花粉媒介昆虫と天敵を利用した施設ナス栽培体系の経済性
担当機関 高知農技セ
研究期間 2000~2001
研究担当者 玖波井邦昭
山西敏治
松島貴則(高知大学)
発行年度 2002
要約 花粉媒介昆虫(マルハナバチ)と天敵を利用した施設ナス栽培技術を導入すると、経営費が9%増加し、作業時間が18%減少する。同じ経営規模で慣行所得水準を維持するためには、4%以上の単価上乗せが必要となる。省力効果を規模拡大に振り向けると、22~26%の規模拡大が可能となり、31~35%所得が増加する。
キーワード ナス、経済性、経営的評価、花粉媒介昆虫、天敵、環境保全型
背景・ねらい ナスは本県の施設園芸を代表する基幹作目であるが、労働力不足により将来的な栽培面積の減少が心配されている。一方、消費者の農産物に対する安心・安全への関心が高くなっていると同時に、生産現場においても花粉媒介昆虫や天敵が導入されつつある。
そこで、花粉媒介昆虫(マルハナバチ)と天敵を利用した施設ナス栽培技術(以下新技術)の経済性を評価し、省力化と所得の安定確保が実現できる施設ナス経営の普及・定着を図る。
成果の内容・特徴 1.
新技術を導入した生産者に対する意識調査では、肉体負担の軽減や作業時間の短縮等の省力効果があるが、コストは増加すると評価されている(図1)。個別経営調査をもとに、作業時間と経営費のデータをモデル化して慣行栽培と比較すると、同様な傾向が示され、作業時間では18%短縮し、経営費では9%増加する(表1)。
2.
販売単価を変動させて所得をシミュレートすると、平成12年9月~平成13年8月(以下平成13園芸年度)の5割減農薬栽培ナス販売実績単価376円(通常販売より6%高い単価)で販売されれば、所得が7%増加し、通常販売単価よりも4%高い368円で販売されれば、慣行栽培と同額の所得確保が可能となる。通常販売と同じ353円で販売されれば、所得が12%減少する(図2)。このことから新技術を導入して生産されたナスは、少なくとも4%程度の単価の上乗せが必要であるが、平成13園芸年度の5割減農薬栽培ナス販売実績単価からみると、慣行栽培と同等の所得を得ることは可能であると考えられる。
3.
新技術の省力効果を金額で評価するために、経営費に家族労働費を加えた生産費をコストとし、粗収益から生産費を減じた純収益について販売単価を変動させてシミュレートすると、慣行栽培の販売単価よりも6%安い332円で慣行栽培と同じ純利益となる(図2)。このように、新技術の評価基準に省力効果を加味すると、単価の上乗せがなくても新技術が高く評価される。
4.
新技術導入による作業時間の減少を経営規模拡大に反映させてシミュレートすると、慣行とほぼ同じ作業時間で22~26%の規模拡大が可能となり、31~35%所得が増加する(表2)。
成果の活用面・留意点 1.
新技術の導入効果とその経済的裏付けについての農家の判断材料や関係機関の指導資料となる。
2.
平成13園芸年度の5割減農薬栽培ナス販売単価と慣行栽培販売単価については、出荷規格と取り扱い市場を限定して集計しているため、農家手取り単価とは必ずしも一致しない。
図表1 219415-1.gif
図表2 219415-2.gif
図表3 219415-3.gif
図表4 219415-4.gif
カテゴリ 病害虫 規模拡大 経営管理 コスト 栽培技術 栽培体系 施設園芸 出荷調整 省力化 新技術導入 なす 農薬 評価基準 マルハナバチ

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