タイトル | テクスチャーによるキュウリの果実品質評価 |
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担当機関 | 大阪食とみどり技セ |
研究期間 | 2000~2002 |
研究担当者 |
森下正博 鈴木敏征野 |
発行年度 | 2002 |
要約 | キュウリを食べたときの歯触りの品種間差は、生果と糠漬果のテクスチャーを分析することにより推定できる。 |
キーワード | キュウリ、果実テクスチャー、品種間差 |
背景・ねらい | キュウリは品種の違いによって食べたときの歯触りが異なるが、生果と糠漬果のテクスチャーを分析することにより、果実品質の客観的評価が可能となり育種に利用できる。 |
成果の内容・特徴 | 1. 果実の破断応力は胎座部に比べ果肉部が高く、部位別では果梗に近い部位が、中央部より高く、花落部が最も低い破断応力であり、品種間差がある。糠漬加工により破断応力は変動する(図1)。 2. 果肉部の脆さの応力の高いものは「夏ばやし」であり、次いで「夏すずみ」、「毛馬」、「近成四葉」、「近成山東」の順である。糠漬果では、「近成山東」と「夏ばやし」が高く、次いで「近成四葉」、「毛馬」、「夏すずみ」の順である。糠漬果の胎座部の脆さの応力は生果に比べ高くなるものの、品種間差は小さい(図2)。 3. 果実の歯切れ指数は、生果および糠漬果全体で-0.85~1.23と大きく変動するが、生果の果肉部では、「毛馬」と「近成山東」が負の値を示し、歯切れが良い(図3)。 4. 果実中央部の胎座部面積率は「毛馬」と「近成山東」では23~29%であるのに対し、「夏ばやし」、「夏すずみ」、「近成四葉」は32~38%とやや高く、2グループに分かれる。糠漬にすると、果梗部から花落部全体にかけ胎座部の面積率は低下する傾向を示す。胎座部面積率が大きい品種は、食べた時の歯触りは軟らかく感ずる(図4)。 5. キュウリの品種が持つ個々の果実の特性差は、食べたときの品種間差として総合的に現れる。例えばパリパリとした食感を持つ「毛馬」では、果肉の硬さは「近成四葉」や「近成山東」ほどではなく、また、糠漬け加工しても「夏ばやし」、「近成四葉」や「近成山東」ほど肉質が柔らかくならないこと、つまり適度な組織の硬さと脆さを合わせ持っていることがこのような歯触りに関係する。また、果実の果肉部と胎座部の面積率の大小が果実全体を食べたときの食感として大きく影響する。胎座部面積率や果肉部、胎座部の破断応力を解析することにより、キュウリ果実のテクスチャに関わる品質の解析が可能である。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 分析部位は果実の花梗部下2cm(上と表す)、中央部(中)および花落部上2cm(下)の3か所で、1cmの厚さに輪切りにした果実ディスクの果肉部と胎座部の破断応力をレオメータ(TR-06、レオテック社製)で測定する。なお、測定条件は直径3mmのプランジャーを用い、テスト速度6cm/分、2kgレンジとする。 2. 自根のデータであるが、接ぎ木と自根の果実の品質差も分析可能である。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 育種 馬 加工 きゅうり 接ぎ木 品種 |