タイトル | イチゴ高設栽培における培地加温の増収効果 |
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担当機関 | 奈良農技セ |
研究期間 | 2000~2002 |
研究担当者 |
黒住徹 信岡 尚 前川寛之 滝憲治 東井君枝 |
発行年度 | 2002 |
要約 | イチゴ高設栽培では、培地加温することにより収量はやや高くなる。早朝のみの加温でも増収効果がある。培地槽に保温性の低い資材を用いれば、培地からの放熱により、培地加温のみでハウス内気温を高めることができる。 |
キーワード | イチゴ、高設栽培、加温、培地、放熱、気温 |
背景・ねらい | イチゴ高設栽培では、土耕栽培に比べて培地量が少ないために、ハウス内気温の影響を受けて培地温が低下しやすく、培地加温の必要性が指摘されている。培地加温における収量比較試験は数多く実施されているが、具体的な加温方法や温風暖房機による空気加温との関係について明確に示されたものはない。そこで、高設栽培における培地加温の方法とその効果について検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 15℃までの範囲で、培地温が高いほど生育が前進化し、初期収量は高くなる(図1)。また、培地加温によって不受精果の発生率が低下する(データ省略)。 2. 培地温が最も低下する早朝(6時から9時まで)のみの加温でも、18℃までは培地温が高いほど収量は高くなる(図1)。 3. 培地槽に保温性の高い発泡スチロールを用いると、培地からの放熱量は小さくなる。保温性の高い培地槽では、培地と空気の接触面積が大きいほど、放熱量も大きくなる。ポリフィルム等の保温性が低い培地槽資材でも、底部に薄い発泡ポリエチレンシート等を重ねれば、培地槽からの放熱量をかなり減らすことができる(表1)。 4. 保温性の低い資材を用いた培地槽で培地加温を行うと、培地からの放熱で夜間のハウス内気温を高めることができる。培地加温15℃と空気加温8℃では、ほぼ同程度の電力消費量(図3)であるが、培地加温では気温を約7℃に維持できるのに比べ、空気加温では培地温を9℃程度にしか高めることができない(図2)。培地加温と空気加温を併用して気温8℃、培地温15℃に設定した場合、空気加温の寄与率は培地加温の1/2以下である(図3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 保温性の低い資材を用いた培地槽で温湯などによる培地加温を行えば、温風暖房機が不用で、コストを削減して効率的な暖房を行うことができる。ただし、寒冷地での効果は確認していない。 2. 早朝加温での増収効果は、「さちのか」、「章姫」でも認められる。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | いちご コスト |