中山間地域におけるナルコユリの促成栽培技術

タイトル 中山間地域におけるナルコユリの促成栽培技術
担当機関 高知県農業技術センター山間試験場
研究期間 1997~2001
研究担当者 山崎教道
西内隆志
発行年度 2002
要約 ナルコユリの自家養成株を8月下旬~12月中旬に掘り上げ、冷蔵して12月に無加温ハウスへ定植し、トンネル保温すれば3月に切り葉が収穫できる。また、その切り下株を4月に露地に栽植して、追肥や遮光等の管理をすることにより、株養成・切り葉一貫生産が可能となる。
キーワード ナルコユリ、自家養成、切り葉生産、促成栽培、経営評価
背景・ねらい ナルコユリは陰地を利用した5、6月出し露地栽培がほとんどで、その収益性は高くない。
そこで、中山間の地域特性を活かした品目として低コスト生産につながる本種の促成栽培技術について検討する。
成果の内容・特徴 1.
切り葉生産では、自家養成株を8月下旬から12月中旬にかけて掘り上げ、冷蔵して定植すれば、3月上旬から下旬にかけて収穫できる。掘り上げた根茎は12月中旬の定植期まで、5℃で湿式冷蔵する(表1)。定植は無加温ビニルハウスに根茎重60~80g(3、4芽/株)の大きさのものを15,000芽/aとする(図1)。主茎の伸長促進や収穫時期の前進を図るため、定植後トンネル被覆する(図2)。
2.
切り下株養成では基肥施用量を窒素・リン酸・カリの各成分1.0kg/aとして、2,600株/a栽植し、翌年の3月と5月に同各成分量を0.5kg/a追肥する。定植後山草か黒色ポリフィルムでマルチすると根茎肥大に効果がある。
3.
促成切り下株を自家養成した促成切り葉経営の初年度および次年度は、根茎購入のためマイナス所得となるが、3年度以降は農業所得86,185円/a、自家労働時間が138時間/a で時間当たり所得で625円となる。
4.
中山間地域における複合経営品目として冬季のハウス施設、労力を活用したナルコユリの低コスト生産が可能となる(図3)。
成果の活用面・留意点 1.
切り葉生産での基肥は、切り下株養成と同様各成分量で1.0kg/aを目安とする。
2.
切り葉生産での保温は多層内張り、透明マルチを併用する。
3.
マルチ除去は芽がある程度出そろってからでよいが、トンネルの開閉は徐々にして第1葉の完全展開までに除去する。また、ハウス換気は約35℃を目安とするが、初期は葉が柔らかいので風が直接当たらないように注意する。
4.
切り下株養成では、葉焼け防止のため7月から10月まで黒色寒冷紗で遮光する。また、促成栽培でも3月以降日射が強くなり葉焼けの心配がある場合は同様とする。
5.
夏秋期の作付け予定がないハウスがあれば、切り下株を植え付け、自然休眠覚醒期以降の12月中旬から1月下旬に保温を始めると4月に収穫できる。
6.
適用範囲は、中山間地域とする。
図表1 219468-1.gif
図表2 219468-2.gif
図表3 219468-3.gif
図表4 219468-4.gif
カテゴリ 経営管理 栽培技術 中山間地域 低コスト マルチ除去 ゆり

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