カンキツ「清見」をコルヒチン処理して得られた個体の特性

タイトル カンキツ「清見」をコルヒチン処理して得られた個体の特性
担当機関 徳島果樹研
研究期間 1995~1998
研究担当者 山尾正実
津村哲宏
発行年度 2002
要約 優秀な育種親である「清見」にコルヒチン処理を行い、2倍体と4倍体の細胞が混在するキメラ個体を得た。この個体を種子親とすることで、確率は低いが3倍体個体を得ることができる。
キーワード カンキツ、清見、コルヒチン処理、交雑育種、3倍体、4倍体
背景・ねらい 「清見」はそれ自身も優秀な品種であるが、カンキツ類の育種親としても優秀な品種であり、今までに「不知火」をはじめ多数の品種の種子親となっている。「清見」の特徴として、単胚、雄性不稔で単為結果性があり無核果実が得られるが、雌性稔性も強く、交配されると沢山の種子が形成される。この雌性稔性が強いという形質は後代においても認められ、交配組合せによっては品質は良いが種子が沢山はいってしまうことがあり、無核品種が求められている現状では、品質が良くても種子が多いと普及品種として認められにくい。そこで、「清見」を種子親として無核品種育成の一手法である3倍体を作出する目的で、コルヒチン処理により「清見」の4倍体の作成を試みる。
成果の内容・特徴 1.
コルヒチン処理した個体は2倍体のものに比べて刺が大きく、葉は厚く幅があり、枝数は少ない傾向で、葯は2倍体のものと同様に退化しており花粉は認められない。また、フローサイトメーターで倍数性を調査したところほぼ4倍体である(図1(3)、表1)。
2.
交配すると多数の種子が得らるが、全てが2倍体の清見の種子に比べて小さい(図2)。種子は全て正常に発芽・成長する(図3)。
3.
「清見」コルヒチン処理個体×「阿波オレンジ」の18個体の倍数性を調査したところ、6個体は3倍体であったが、12個体は2倍体であった(図1(2)、表2)。
4.
「清見」コルヒチン処理個体×「チャンドラポメロ」の18個体の倍数性を調査したところ、全て2倍体であった(図1(1)、表2)。
5.
このことから、「清見」コルヒチン処理個体は4倍体と2倍体の細胞が混在するキメラであると推測され、無核品種育成の一手法である3倍体を作出するための中間母本として利用できる。
成果の活用面・留意点 1.
コルヒチン処理は生山らの方法に従い、未硬化枝の腋芽を切り取り、0.1%溶液に2~6時間浸責後、暗黒下で2週間生育させたカラタチ実生に茎頂接木を行う。
2.
交配組合せによっては3倍体が得られない場合がある。
3.
さらに高確率で3倍体を獲得するには、再度コルヒチン処理を行い2倍体の細胞の倍化が必要である。
図表1 219475-1.gif
図表2 219475-2.gif
図表3 219475-3.gif
図表4 219475-4.gif
図表5 219475-5.gif
カテゴリ 育種 単為結果 品種 その他のかんきつ

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる