温床線を用いた部分的地中加温によるカンキツ「不知火」の生育促進

タイトル 温床線を用いた部分的地中加温によるカンキツ「不知火」の生育促進
担当機関 大阪食とみどり技セ
研究期間 2001~2002
研究担当者 加藤彰宏
細見彰洋
発行年度 2002
要約 「不知火」の雨除け栽培において、電気温床線を巻き付けた円筒形発熱体を使用して部分的な地中加温を行うことにより、地温は発熱体からの距離や深さによって異なるが、萌芽と開花を促進する。
背景・ねらい 果樹の施設栽培では加温開始期における地温の上昇が遅いために樹体の生育不良が起こり、一時的な加温や既存の定植樹に対応できる地中加温法が必要である。
設置や撤去が容易な、温床線を用いた円筒形の発熱体による加温方法を開発し、冬期の地温上昇効果とカンキツ「不知火」の生育を促進する。
成果の内容・特徴 1.
長さ35cm直径8cm程度の円筒の下部25cmに、3cm間隔で温床線(200V用,500W,40m)を巻き付けた発熱体を使用する(図1)。一個あたりの電力消費量は33W/Hである。
2.
「不知火」(カラタチ台。樹冠直径1.2~1.7m。雨よけ栽培)の主幹より半径50cmの円周上に6個の発熱体を埋設する(図1)。サーモリレーの感温部は樹冠北側の発熱体から5cm離し、15cmの深さに設置する。
3.
感温部での地温を22℃~25℃に加温すると、地温を無加温より1℃上げるのに必要な通電時間は天候による影響が小さく、加温期間を通じて約1.3時間/日である。なお、無加温の地温は主幹より50cm離れた部位で測定する。
4.
発熱体より5cmの距離では、深さ25cmと15cmではいずれも天候による影響が無く、一日の変化の幅も2℃以下である。25cmの地温は深部への放熱のため15cmの地温より少し低く、深さ5cmでは気象の影響を強く受けて変動する(表1)。
5.
発熱体からの距離による地温の変化は深さ15cmでは気象の影響が小さく、一日の変化の幅も3℃以下である。加温の効果は主幹部や発熱体から樹冠外の方向へ30cmの部位でも見られる(表2)。
6.
11月12日からの加温により「不知火」は萌芽が5日、開花が3日促進し、新梢発生数と着花数も増加する傾向がある(表3)。温床線に近接した根に高温障害は見られないが、細根量には加温による増加効果がない。
成果の活用面・留意点 1.
設置と撤去が容易であるので、既設園や一時的な地中加温方法として有効であり、夜間電力の使用によりコストが下がる。
2.
地上部の温度条件により生育促進日数は異なるが、ハウス栽培での早期出荷や加温燃料の節減につながる。
図表1 219476-1.gif
図表2 219476-2.gif
図表3 219476-3.gif
図表4 219476-4.gif
カテゴリ 高温対策 コスト 栽培技術 施設栽培 出荷調整 その他のかんきつ

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