マルチ栽培による伊予柑の高品質果実生産

タイトル マルチ栽培による伊予柑の高品質果実生産
担当機関 愛媛県立果樹試験場
研究期間 1998~2002
研究担当者 井上久雄
大内義典
藤井栄一
発行年度 2002
要約 8月下旬頃から12月まで、透湿性フィルムを地表面に対して80~90%の割合で被覆すると、果実肥大を抑制することなく糖度が0.5~1高い果実が生産できる。酸含量もやや高くなるが食味は優れ、長期貯蔵後のす上がりの発生が少なくなり、レギュラー品よりも高く販売され、収益が向上する。
キーワード 伊予柑、マルチ栽培、糖度、す上がり、収益
背景・ねらい 主力品種の伊予柑は消費志向の変化から需給バランスが崩れ、価格が低迷している。産地では「不知火」や「はるみ」など剥皮性のよい食べやすい品種への更新が徐々に進んでいるが、伊予柑の食味を向上させることも消費減退をくい止める上で重要である。しかし、伊予柑はこれまで酸抜けのよい大果の商品価値が高かったため、糖度を上げるという視点での研究はほとんど行われていない。このため、ウンシュウミカンで利用されている透湿性フィルムを用いたマルチ栽培、とくに被覆率の高い部分マルチを伊予柑に対して適用して品質向上効果を明らかにするとともに、資材費や被覆作業時間、労賃などから生産費についても検討する。
成果の内容・特徴 1.
8月下旬頃から12月まで、透湿性フィルムを地表面に対して80~90%の割合で被覆すると、果実肥大を抑制することなく糖度が0.5~1高い果実が生産できる(図1)。マルチ栽培は酸含量も高くなるが食味は優れる。また、長期貯蔵後のす上がりの発生が少なくなる(図2)。
2.
透湿性フィルムは地表面に対する被覆率が同じであれば、株元を開けて被覆するよりも閉じて被覆する方が糖度上昇効果は高い(表1)。露地と比べて収量、階級割合に差はみられない。
3.
現地ほ場(10a)での実証からマルチ栽培の生産費を試算すると、露地栽培に比べて資材費と労賃で年間70,000円余り多く必要であるが、販売単価が高いことから粗収益では逆に150,000円多くなる。これにより、マルチ栽培の収益は露地に比べて年約80,000円向上する(表2)。
成果の活用面・留意点 1.
連年被覆すると樹勢がやや低下してくるので、堆肥の投入や液肥散布により樹勢維持を図る必要がある。
2.
秋肥の施用・肥効が遅れるので初秋肥をやや多めとする。
3.
株元を開けた被覆方法では被覆後の灌水は通常必要ないが、株元を閉じた被覆では秋 季に乾燥が続く場合は少量の灌水が必要である。
図表1 219477-1.gif
図表2 219477-2.gif
図表3 219477-3.gif
図表4 219477-4.gif
カテゴリ 伊予柑 温州みかん 乾燥 長期保存・貯蔵 品種 良食味

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