施設栽培「日向夏」、「宿毛小夏」の少種子果生産技術

タイトル 施設栽培「日向夏」、「宿毛小夏」の少種子果生産技術
担当機関 高知県農技セ果樹試験場
研究期間 2000~2001
研究担当者 谷岡英明
日浦直之
発行年度 2002
要約 「日向夏」及び「日向夏」の早生種である「宿毛小夏」の施設栽培において、受粉樹に「西内小夏」を利用することにより、種子の少ない果実が生産できる。この場合、開花期の訪花昆虫の侵入を防ぐため天窓、サイド、入口をネット被覆し、施設内の交配はミツバチを利用する。
キーワード 施設栽培、「日向夏」、「宿毛小夏」、「西内小夏」、少種子果実
背景・ねらい 「日向夏」は、特有の食べ方により種子が少ないほうが好まれるが、着果安定のためには他のカンキツ類の花粉による受粉が必要であり、ほとんどの果実に20粒以上の種子が入る。しかし、「日向夏」の枝変わりで自家和合性を有し、種子が少ない「西内小夏」の花粉を受粉すると「日向夏」、「宿毛小夏」の種子も少なくなることが明らかになった。そこで、「西内小夏」を利用した施設栽培での効率的な少種子果実安定生産技術を確立する。
なお、従来の「日向夏」施設栽培園では、「黄金柑」、ブンタン類を1~2割程度混植し、交配のため10a当たり1箱のミツバチを置いて栽培している。
成果の内容・特徴 1.
「日向夏」及び「宿毛小夏」の施設栽培園で受粉樹を「西内小夏」とする。これらは収穫時期が異なり、管理作業(収穫、灌水、せん定、施肥)の違いがあることから「日向夏」又は「宿毛小夏」と「西内小夏」を畝ごとまたは屋根ごとに交互に植栽し、混植の割合は1:1とする。
2.
交配には、ミツバチを用いる。開花期間中、他のカンキツ花粉を媒介する訪花昆虫の侵入を防ぐため、天窓、サイド、入り口等を4mmメッシュ以下のネットで被覆する(以下、ミツバチ・ネット栽培という)。
3.
ミツバチ・ネット栽培による着果率は、裏年で「日向夏」が4.7%、「宿毛小夏」が6.1%、表年では「日向夏」が2.8%、「宿毛小夏」は1.2%であり、十分な着果が得られる(表1)。
4.
ミツバチ・ネット栽培の10a当たり収量は、受粉樹となる西内小夏を含めて3.5~4.9tが可能と考えられる(表2)。
5.
ミツバチ・ネット栽培での収穫果の階級割合は、M、L級が中心となり、商品性が向上する(表3)。また、「日向夏」、「宿毛小夏」とも種子数が大幅に減少する(表4)。
成果の活用面・留意点 1.
少種子果実は、生理落果後も気象の変動等(8~9月)によるストレスを受けやすく落果しやすいため、敷きワラ等で土壌の極端な乾湿を防ぐ。
2.
交配用ミツバチの箱数は、10a当たりでは2箱が適当と思われる。
3.
「西内小夏」は、着果量が多い時や、収穫時期が遅くなった時に開花時期が遅れることがあるため、開花初期には「日向夏」、「宿毛小夏」へ人工授粉が必要となる場合がある。
図表1 219479-1.gif
図表2 219479-2.gif
図表3 219479-3.gif
図表4 219479-4.gif
カテゴリ 施設栽培 受粉 施肥 日向夏 ぶんたん ミツバチ その他のかんきつ

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