タイトル | カンキツ「すす状汚染果」に対する果皮オイルにの洗浄効果 |
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担当機関 | 山口大島柑きつ試 |
研究期間 | 2001~2002 |
研究担当者 |
岡崎芳夫 宮田明義 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 「すす状汚染果」の被害は、秋季の降水日数に比例して多くなる。汚染果の洗浄には果皮オイル(2):シュガーエステル(3):水(5)の混合液によるブラッシングが有効である。洗浄による果皮の萎凋および障害の発生を軽減するために、果皮被膜処理が必要である。 |
キーワード | 果皮オイル、カンキツ、すす状汚染果、シュガーエステル |
背景・ねらい | カンキツの果皮表面に「すす状汚染果」と呼ばれる涙斑状、あるいは全体に皮膜状の黒い汚れが生じ、商品価値を著しく低下させている。これらは、主として晩生系のウンシュウミカンや中晩柑類で問題となることが多いが、水や家庭用洗剤、あるいは酸、アルカリでは除去できない。 そこで「すす状汚染果」の発生状況を調査し、あわせて果皮オイルによる洗浄効果を明らかにするとともに、洗浄後の品質保持方法を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 被害程度が大きい(指数3以上)年における10月と11月の降水日数は、被害が小さい年に比べて多い傾向にある(図1)。 2. 果皮から分離した「すす様物質」は直径0.02~1.1μmで、形状は表面が滑らかな球形である。粒子はクチクラに一部埋没しており、このことが水や家庭用洗剤では容易に除去できない理由の一つと考えられる。 3. 果皮オイルによる「すす状汚染果」の洗浄効果については、ガーゼによる拭き取りでは濃度10%以上で高い効果を示すが、ブラッシングの場合には20%以上が必要である。 4. 果皮オイルの乳化剤にはシュガーエステル(LWA-1570)が有効であり、オイル濃度が10%以下であれば混合比が1:1でも乳化は良好である(表1)。ただし、オイル濃度が高くなった場合にはシュガーエステルの混合比率を高める必要があり、その時の混合比は果皮オイル(2):シュガーエステル(3):水(5)である。 5. 果皮オイルで洗浄した果実の減量歩合は、無洗浄の果実に比べて高まるとともに、こはん症の発生が増加する。洗浄後は品質保持のために果実をワックス処理する必要があり、被膜剤の濃度は50%が適切である(表2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 「すす状汚染果」の発生したカンキツ果実に適用する。 2. 洗浄工程においてブラッシングの時間が短い場合には、果皮オイルの濃度を30~50%に高めることによって洗浄効果が向上する。その際には、混合タンク中に撹伴装置が必要である。 3. 果皮オイルは食品洗浄剤として、シュガーエステルは食品添加物として認可されている。 4. 果皮オイルによる洗浄後は必ず水洗し、消費までの期間が10日以上と予想される場合にはワックスをかける必要がある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 温州みかん 品質保持 その他のかんきつ |