タイトル | モモ果肉障害(みつ症)の発生要因と営農的防止対策 |
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担当機関 | 京都府丹後農業研究所 |
研究期間 | 2000~2002 |
研究担当者 |
安川博之 久木崎孝弘 |
発行年度 | 2002 |
要約 | モモの果肉障害(みつ症)は果実肥大が進み、糖度が高く硬度が低下するほど発生しやすく、また日当たりが強く果実温度が高くなることで助長される。果実肥大や果実袋内の温度上昇を抑制する着果管理と、硬度が2kg/cm2以下になるまでに収穫することで発生が軽減される。 |
キーワード | モモ、果肉障害(みつ症)、果実肥大、硬度、糖度、着果位置、袋内温度 |
背景・ねらい | 京都府丹後地域における一部のモモ産地で、果肉が部分的に水浸状になり褐変する果肉障害(みつ症)が多発し、問題となっている。この果肉障害(みつ症)は外観からは識別しにくく、購入客からのクレームで明らかになることが多く、生産現場から発生要因の早期解明とその防止対策が求められている。そこで、本症状の発生要因を調査し、営農的な防止対策を確立する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 果肉障害(みつ症)は果肉中央で主に発生し、縫合線、果頂部、こうあ部付近での発生は少ない。また品種間差があり、「八幡白鳳」、「白鳳(塚平系)」、「長沢白鳳」、「あかつき」、「千曲」で発生が認められている。 2. 果肉障害(みつ症)は、果実重が大きく、糖度が高い果実に発生が多く(図1)、さらに硬度が低いことも特徴的である(図2)。 3. 主幹形栽培では、着果位置が地面から2m以上の場所での発生が約27%と2m以下の約14%に比べて多く、また枝葉が少なく日当たりの強いところでの発生が多い。なお、袋をかけたモモ果実にさらにポリエチレン袋を被覆すると、袋内の最高温度が平均で約2℃上昇し、障害発生率が高くなる(表1)。 4. 摘蕾・摘果方法を変えて果実肥大を抑制すると、障害の発生が若干軽減する(表2)。 5. 営農的防止対策として、(1)強摘果を避け果実肥大を抑制する、(2)西日が遅くまで当たる西面や高所への着果を減らす、(3)遮光性の強い果実袋を利用して袋内温度を抑制する(データ略)、(4)硬度が2kg/cm2以下になるまでに収穫を行うことが有効である。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 果実肥大抑制のため、摘蕾・摘花を行わず、予備摘果も10日程度遅らせる。 2. 着色が弱い品種では遮光性の高い袋を利用すると着色不良になることがあるので遮光性の低い袋を使用し、樹幹内部や東面等の高温になりにくい場所への着果を多くするよう心がける。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 果肉障害 品種 もも |