タイトル | 粗皮剥ぎした枝幹部への尿素散布による加温栽培ブドウの生育促進 |
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担当機関 | 岡山農総セ |
研究期間 | 2001~2002 |
研究担当者 |
小野俊朗 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 「ピオーネ」加温栽培の発芽前に高圧の水流で粗皮を剥ぎ、尿素10倍液を散布することによって、樹体表面から吸収された窒素を発芽後の生育に有効利用させ、新梢伸長と葉の緑色化を促進できる。 |
キーワード | ブドウ、15N、窒素、加温栽培、尿素、新梢生長 |
背景・ねらい | ブドウの加温栽培、とくに加温時期が早い作型ほど、発芽や新梢の初期生育が不良となりやすい。これは、休眠覚醒の不足や栄養不良が主な原因である。発芽促進にはシアナミド処理が有効で普及している。生育促進には窒素の追肥や葉面散布が行われるが、十分な効果が得られないのが現状である。そこで、発芽当初の生育改善をねらった窒素の速効的な補給法を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 「ピオーネ」加温栽培の加温開始約2週間後に高圧の水流で主幹および主枝の粗皮をはぎ尿素10倍液(展着剤加用)を小型噴霧器で少量散布する。 2. この手法による尿素の散布により、新梢伸長は旺盛となり葉の緑色化が促進する。この結果、花穂発育が促進されて開花時の子房が大きくなり、成熟果実の果粒も大きくなる(図1、2、表1)。 3. 15N-尿素を利用して結果母枝と粗皮剥ぎした幹(主枝を含む)とに分けて塗布し、窒素の吸収を確認したところ、発芽まもない新梢中には両区とも15N-尿素由来の窒素が存在し、窒素が結果母枝および幹から吸収されていることが伺える。とくに、幹や主枝からの吸収量が多い(表2)。 4. 以上の結果、「ピオーネ」加温栽培の発芽前に高圧の水流で粗皮を剥ぎ、尿素10倍液を散布することによって、樹体表面から吸収された窒素が発芽後の生育に有効利用され、新梢伸長と葉の緑色化が促進する。このことは、果粒肥大にも好影響を及ぼす。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 粗皮剥ぎはカイガラムシ類の越冬密度低下に有効である。 2. 尿素液には浸透性の高い展着剤(アプローチBI等)を加用し、多量の液が地表面にしたたり落ちないように散布する。 3. 粗皮剥ぎは結果母枝付近まで行うが、芽に当たると欠損するので注意する。 4. 樹勢の強い樹では効果が劣る。 5. 「ピオーネ」以外の品種では効果を確認していない。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 品種 ぶどう |