タイトル | 水稲との輪換利用を前提とした水田放牧利用技術 |
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担当機関 | 京都府碇高原総合牧場 |
研究期間 | 2000~2002 |
研究担当者 |
戸川博行 東井滋能 井上厳夫 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 水田の草地化は、リードカナリーグラスを加えた混播によって促進され、過放牧を避けることで、放牧場からの流出水に問題は起きない。復田する際は、穂肥を減らすことで食味が向上する。 |
キーワード | 水田、草地化、放牧、電気牧柵、水質、復田、穂肥 |
背景・ねらい | 京都府の中山間地域は肉用牛の繁殖地帯として重要な位置を占めているが、近年、高齢化や労力不足により飼養戸数が減少傾向にあり、規模拡大も困難な状況にある。このような状況下で肉用牛振興を図るためには、省力化や低コスト化が可能な放牧を広く普及させることが不可欠であり、十分な放牧地を確保する方策が必要である。放牧に必要な土地の確保を容易にするには、農地の流動化による水田転作の活用が必要であるが、水田を放牧利用した場合、畦畔の崩壊などによる水田機能の悪化が懸念される。 そこで、既往の草地造成技術を活用して水田の草地化を図るとともに、放牧利用による畦畔や周辺環境或いは後作水稲への影響を調査し、水稲との輪換利用を前提とした水田放牧技術を検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 水田の草地化には、オーチャードグラス、トールフェスク、ペレニアルライグラス、シロクローバに耐湿性の高いリードカナリーグラスを加えた混播が有効である(表1)。 放牧では、放牧場を電気牧柵で囲み簡易な水槽と飼槽を設けることで牛舎から離れた場所で放牧することが可能になり、また、2牧区交互放牧することにより、10a当たり年間延べ約60頭を昼夜放牧できる(表1)。 2. 水田放牧で有効な電気牧柵は4人で100m設置するのに1.1時間の作業時間が必要であり、20a設置時の資材費は117,850円で、時間、費用とも有刺鉄線牧柵の場合の約半分で設置できる(表2)。 3. 用水路内の水質調査結果から流出水の値が流入水よりも高い傾向にあったが、各種の基準と照らし合わせ過放牧を避けることで放牧場からの流出水に問題は無い(表3)。 4. 水田放牧地を水稲作に復田すると、穂肥施用量の多い区の粗玄米収量が多くなる傾向にある(P=0.06)が、石灰窒素を20kg/10a散布しNK4kg/10aの穂肥を行うと、登熟割合が低くなる。また、食味推定値は穂肥をN,K2Oを各々2kg/10aまたは0kg/10a施用することで、4kg/10a施用するより向上する(表4)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 水田放牧利用技術の確立により広範囲に放牧地を確保できる。 2. 農繁期の放牧利用により、作業の軽減、規模拡大も可能。 3. 過放牧にならないよう留意する。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 規模拡大 省力化 水田 水稲 耐湿性 中山間地域 低コスト 肉牛 繁殖性改善 放牧技術 良食味 |