タイトル | ホルスタイン種体細胞クローン牛1頭の発育・泌乳成績 |
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担当機関 | 徳農技セ畜産研 |
研究期間 | 2002~2003 |
研究担当者 |
笠井裕明 福見善之 片山正敏 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 核移植技術により生産したホルスタイン種体細胞クローン牛は、同居育成牛と同様に良好な発育値を示す。また、305日間の初産次泌乳検定成績はドナー牛より1,000kg高く、体型審査得点は同点であった。 |
キーワード | 繁殖、動物産業、乳用牛、体細胞クローン、発育値、泌乳成績、 |
背景・ねらい | 体細胞をドナー細胞に用いたクローン牛の産子生産率は高くないが、その発育性及び生産能力等を実証しておく必要がある。そこで、ホルスタイン種体細胞クローン産子を用いて、日本飼養標準に基づく飼料給与を行い、その発育状況を同居育成牛、泌乳成績等をドナー牛及びドナー牛の姉妹牛2頭と比較した。 |
成果の内容・特徴 | 1. ホルスタイン種育成牛の皮膚組織より分離した体細胞をドナー細胞に用いクローン胚を作出し8頭の受胚牛に12個移植した結果、3頭が妊娠し2頭が各々279、282日目に44kgと53kgの単子を分娩、この内1頭は誕生直後に死亡した。 2. 生存した1頭について同時期に誕生した人工授精産子11頭と同一の飼料給与による育成試験を行った結果、同居牛と同様にホルスタイン種雌牛の標準発育値よりも高い値で発育し(図1)、体重では46、体高では54週目に授精適期体格に到達した(表1)。 3. 生後21カ月齢で人工授精した結果、ドナー牛及びその全姉妹牛と同様に正常妊娠期間で35kgの雄産子を自然分娩した。305日間の泌乳検定成績では実乳量がドナー牛7,731kg、クローン牛は8,757kgであった(表2)。 4. クローン牛の乳脂率、乳蛋白率、無視固形分率は4.3%、3.4%、8.8%であり、全姉妹3頭の中でもドナー牛に近い値であった。(表2)。 5. クローン牛の初産時の体型審査による決定得点はドナー牛と同点の81点であり、各部の得点は全姉妹3頭の中でドナー牛に近い値であった(表3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 体細胞クローン牛の飼養環境がドナー牛と異なるため泌乳成績は一致しなかったが、高い泌乳成績であった。さらにデータの蓄積を図り、クローン間の斉一性について実証する必要がある。 2. クローン牛の後代についても発育性及び泌乳成績等を実証する必要がある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 繁殖性改善 |