タイトル |
園内に敷設した裁断枝の大きさがカンキツ黒点病菌の発生に及ぼす影響 |
担当機関 |
山口大島柑きつ試 |
研究期間 |
2000~2003 |
研究担当者 |
村本和之
東浦祥光
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発行年度 |
2003 |
要約 |
剪定枝の裁断程度を変えてウンシュウミカン園に敷設すると、粗く裁断するほど黒点病の伝染源となる危険性が高い。その危険性を下げるためには、30mm以下の長さに細かく裁断する必要がある。
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キーワード |
ウンシュウミカン、黒点病、剪定枝処理
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背景・ねらい |
園内に放置された剪定枝がカンキツ黒点病の伝染源になることは以前からしばしば指摘されており、対処法としては野焼きによる剪定枝の焼却が指導されてきた。しかし近年、廃棄物処理法の改正などによって野外での焼却処理が制限される方向にあるため、野焼きによらない剪定枝処理法の開発の必要性が高まっている。そこで、剪定枝を裁断して園内に敷設する方法について検討を行う。
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成果の内容・特徴 |
- カッター(樹木の裁断機)を用い、剪定枝の裁断程度を変えてウンシュウミカン園に敷設し、半年以上経過した裁断枝を採取して湿室に保持すると、黒点病菌の不完全世代と同じPhomopsis属菌の胞子角が認められる。湿室に保持した裁断枝に殺菌水を加え、得られた胞子懸濁液をユズ幼苗の胚軸に滴下して接種すると、カンキツ黒点病菌の場合と同様の病斑を生じる(表1)。このことから、Phomopsis属菌の胞子角形成率により、黒点病の病原としての程度を判定できる。
- 敷設1年目の裁断枝におけるPhomopsis属菌の胞子角形成枝率は、枝の長さや最大径が大きくなるほど高くなる傾向が認められ、長さが30mm以下の枝には胞子角の形成は認められない(図1)。
- 黒点病菌の完全世代はDiaporthe属に分類されるが、2年連続して敷設した園の裁断枝におけるDiaporthe属菌の子のう殻形成は、長さ30mm以上、太さ5mm以上の枝で認められる。とくに長さ60mm以上の枝では形成枝率が高い(図2)。また、湿重では1.5g以上の枝で形成が認められ、4.0g以上の枝で特に形成枝率が高くなる(データ略)。
- 以上の結果から、剪定枝を園内で処理する場合、黒点病の伝染源としないために裁断枝の長さを30mmより小さくなるように細かく裁断する必要がある。
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成果の活用面・留意点 |
- 様々な制約により堆肥化、園外処分などの手段が困難な場面において、剪定枝を裁断して処理する場合の裁断程度の基準として利用できる。
- 裁断剪定枝の園地投入が紋羽病の発生に及ぼす影響については明らかではない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
温州みかん
ゆず
その他のかんきつ
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