成型牛ふん堆肥によるウンシュウミカン園の土壌改良

タイトル 成型牛ふん堆肥によるウンシュウミカン園の土壌改良
担当機関 和歌山県農林水産総合技術センター
研究期間 2000~2003
研究担当者 鯨 幸和
橘 実
津田浩伸
発行年度 2003
要約 労働負荷が大きく土壌改良が困難な急傾斜ウンシュウミカン園においては、おがくず牛ふん堆肥を原料とする成型堆肥を施用することで、楽に土壌改良と細根の増加を導くことができ、施肥量の削減にもつなげられる。
キーワード ウンシュウミカン、おがくず牛ふん堆肥、成型、施肥量削減
背景・ねらい 和歌山県のウンシュウミカン産地の多くは、労働負荷の大きい急傾斜地で、耕土が浅く、礫を多く含む低地力園である。近年はこのような園においてもマルチ栽培など樹体に負担をかける栽培法が普及しており、樹勢と収量を維持するため、省力的かつ効果的な土壌改良策が求められている。そこで、おがくず牛ふん堆肥を原料とした軽量の成型堆肥を試作し、堆肥の特性と土壌、樹体および果実に及ぼす影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 小麦粉と水を1:9(重量比)で混合し加熱して糊状にした液と、おがくず牛ふん堆肥を1:9(重量比)で混合する。これを30cm四方の枠に3kg充填して踏圧で成型し、通風乾燥機で乾燥(60℃で3日程度)する。試作した成型堆肥は1kg/枚と原料堆肥の約1/3の重さで、収穫用コンテナに6枚入る。園地の植栽間隔にもよるが、1樹あたり6~10枚の施用で原料となるおがくず牛ふん堆肥の2t/10a相当である(図1)。
  2. 1/2000aワグネルポットで堆肥に由来する肥料成分の溶出パターンを3年間調べたところ、窒素は(硝酸態窒素として)年々溶出量が増え、施用1年目は施用直後に、2年目以降は施用直後と夏季に溶出ピークがあり、連用3年目では年間約3kg/10a溶出する。P、Kは初年度から多く溶出する(表1)。
  3. 成型堆肥の施用により、施用2年目から土壌の表層が膨軟になり、無施用より夏季の土壌水分がやや多く保たれる。また、施肥量を慣行の20%削減しても土壌中無機態窒素は年間を通じてやや多く推移するうえ(図2)、2003年2月で土壌腐植含有率(平均4.99%:堆肥無施用対比+54%)とCEC(平均21.8me:同+12%)が、ともに高まっている。
  4. 成型堆肥の施用により、細根が多く発生する。また、施肥量を20%減じても、新梢は無施用よりもやや長く伸長する(図3)。葉中窒素含有率、果実品質、収量には4年間を通じて施肥量削減の影響があらわれていない(データ省略)。

成果の活用面・留意点
  1. 軽く、収穫用コンテナに入るので、モノレールや一輪車で容易に運搬できる。
  2. 堆肥由来窒素の無機化を見込んで、年間施肥量を20%程度削減できる。
  3. P、Kの土壌への集積がすすむ恐れがあるため、P、Kの少ない肥料と組み合わせる。
  4. ウメ園等、他の急傾斜果樹園の土壌改良にも活用できる。
  5. 平成16年度より、和歌山県畜産試験場、工業技術センター、瓦製造業者、畜産農家と共同で、既存の技術を活用した低コスト大量成型技術の開発と現地実証に取り組む。

図表1 219612-1.jpg
図表2 219612-2.jpg
図表3 219612-3.jpg
図表4 219612-4.jpg
カテゴリ 肥料 うめ 温州みかん 乾燥 傾斜地 小麦 施肥 低コスト 土壌改良

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