pH降下剤による土壌pH矯正とモモの落蕾症発生の軽減

タイトル pH降下剤による土壌pH矯正とモモの落蕾症発生の軽減
担当機関 岡山農総セ
研究期間 2002~2007
研究担当者 山本章吾
高野和夫
発行年度 2003
要約 モモの落蕾症は、カキ殻粉末資材の過剰施用に由来する高pHとマンガン欠乏およびホウ素過剰により発生する。硫酸第一鉄を主成分とするpH降下資材を地表面散布して土壌pHを矯正すると、マンガンの吸収を促して発生を軽減できる。
キーワード モモ、落蕾症、カキ殻資材、pH矯正、マンガン欠乏、ホウ素過剰
背景・ねらい 近年、岡山県において浅間白桃などの花粉のない品種において開花前の蕾の枯死、落下および結実不良など山梨県で発生した落蕾症に似た症例が発生している。山梨県の例では、落蕾症はホウ素を含む肥料の連用によるホウ素過剰とマンガン欠乏が主原因とされ、マンガンの葉面散布による改善効果が報告されている。しかし、土壌改良による根本的な改善方法は明らかにされておらず、本県における発症原因も不明である。そこで、硫酸第一鉄を主成分としたpH降下資材の効果を検討するとともに発生原因を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 落蕾症発生樹の葉中成分は未発生樹に比べてマンガンが低く、蕾中成分はホウ素が高く、マンガンが低い傾向にある(図1)。
  2. 落蕾症の発生園では、ほぼ全ての園で毎年100~200kg/10aのカキ殻粉末資材が連用されており、過用により土壌pHが6.5以上になると葉中マンガン含有率が低下して発生園の割合が高くなる傾向にある(図2)。
  3. カキ殻粉末資材の施用量が多いと、土壌pHが上昇するとともに熱水可溶性ホウ素が増加し、逆に交換性マンガンが減少する(図3)。
  4. 硫酸第一鉄を主成分とし水溶性マンガンを含むpH降下資材200kg/10a(10kg/樹)を8月に地表面散布すると、土壌pHは低下し交換性マンガンが増加し、葉中マンガン含有率が上昇する。葉中マンガン含有率が上昇すると、花芽の落下が少なくなり、着果が安定する花芽/葉芽比(開花期、1.5~2以上)になる(表)。

成果の活用面・留意点
  1. pH降下資材の施用量は緩衝曲線法で決定するが、施用により電気伝導度が上昇するので、200kg/10aを超える量を施用する場合には複数回に分けて施用する。施用時期は、蕾・葉中マンガン含有率の上昇効果が大きい8月頃が望ましい。
  2. 資材によるpH矯正が十分行えないような強アルカリ性土壌については、マンガンの葉面散布を併用する。
  3. モモの好適pHは5.5~6であり、資材施用は土壌診断に基づいて行う。カキ殻資材は、粒径によってpH矯正に要する期間が異なるため、過剰施用になりやすいので施用量に注意する。

図表1 219615-1.jpg
図表2 219615-2.jpg
図表3 219615-3.jpg
図表4 219615-4.jpg
カテゴリ 肥料 土壌改良 土壌診断 品種 もも

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