水稲の疎植と苗かき取り量の削減による苗箱数低減技術

タイトル 水稲の疎植と苗かき取り量の削減による苗箱数低減技術
担当機関 愛媛農試
研究期間 2001~2003
研究担当者 河内博文
森重陽子
発行年度 2003
要約 苗箱使用量を削減する田植機の調整方法には、株間拡大のほかに、苗かき取り量の調整がある。横送り回数を増やし、縦送り量を減らして植付け本数を3~4本/株に調整することで、苗箱使用量は株間22cmでも慣行の約6割、株間30cmでは約4割に削減できる。収量・品質は慣行の株間・苗かき取り量と同程度である。
キーワード 疎植、苗箱使用量、株間、苗かき取り量、田植機、イネ
背景・ねらい 現在広く普及している水稲のマット苗稚苗移植栽培は、育苗および苗運搬に多くの労力がかかっている。この作業の省力化を図るためには、苗箱使用量が削減できる田植機の利用技術を開発する必要がある。
そこで、株間の拡大や苗かき取り量を減らす田植機の疎植作業方式を確立するとともに、慣行の株間と同等の収量・品質の確保を目標とする。
成果の内容・特徴
  1. 苗箱使用量は、株間30cm(11.1株/m2)にすると9.9枚/10aと、慣行(株間18cm)の60%に削減できる。さらに、その状態で苗かき取り量を、横送り28回、縦送り9mmに調整すると6.4枚/10aと、慣行の39%まで削減できる。また、株間22cm(15.2株/m2)までしか調整できない田植機でも、横送り28回、縦送り9mmに調整すると、9.2枚/10aと、慣行の56%に削減できる(図1)。
  2. 植付け本数は、苗かき取り量を減らすほど少なくなり、横送り28回、縦送り9mmにすると3.1本/株となる。そのときの植付け姿勢は、30~60°の割合がやや増えるものの、概ね良好である。欠株率は、苗かき取り量を減らすほど高くなり、横送り28回、縦送り9mm
    では7.6~9.4%となり、連続欠株率もやや高くなる(表1、図2)。
  3. 収量は、横送り28回、縦送り9mmとした場合、株間30cmでは532kg/10a 、株間22cmでは538kg/10aと、慣行と同程度である。また、品質も慣行と同程度である(図1、表2)。
  4. 有効茎歩合は、株間30cmでは苗かき取り量を減らすほど高くなる。穂長は、栽植密度と苗かき取り量を減らすほど長くなる。穂数は、栽植密度と苗かき取り量を減らすほど少なくなる(表2)。

成果の活用面・留意点
  1. このデータは、品種「ヒノヒカリ」の稚苗(播種方法ばらまき、播種量催芽籾で180g、苗立数5,400本/箱)を用いたものである。この技術は、暖地の平坦地で利用できる。山間地など茎数確保が難しい場合は、株間18cmまたは24cmでかき取り量を減らせば、適用できる可能性がある。
  2. 田植機の植付け爪や苗条件(品種・吸水量・根張り等)により、欠株率が5~10%より高くなることもあるので、3~4本/株となるように、試し植えをして調整する。

図表1 219631-1.jpg
図表2 219631-2.jpg
図表3 219631-3.jpg
図表4 219631-4.jpg
カテゴリ 育苗 省力化 水稲 播種 ばら 品種

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