稲発酵粗飼料生産・利用システムの定着条件

タイトル 稲発酵粗飼料生産・利用システムの定着条件
担当機関 山口農試
研究期間 1999~2003
研究担当者 遠藤祐子
吉山英明
原 裕美
高橋一興
白石一剛
齊藤昌彦
発行年度 2003
要約 稲発酵粗飼料の現地の定着を図るためには、生産法人等による耕種側の組織化を図り、畜産側を中型ロールベールが1日で給与できる飼養規模とし、省力低コスト安定生産技術の導入と中型コンバインベーラを核とする広域利用調整等の体制整備が条件となる。
キーワード 稲発酵粗飼料、中型コンバインベーラ体系、生産法人、耕畜連携
背景・ねらい 山口県の中山間地域は、高齢化による担い手の不足や生産調整面積の増加により遊休農地の拡大が顕在化している。そこで、飼料自給率の向上、地域水田機能維持を図るうえで有効な稲発酵粗飼料について、現地実証試験により生産・利用システムの定着条件を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 輸入稲わら(TDN単価103円)より安価で、安心・安全な稲発酵粗飼料を地域自給粗飼料として利用するには、「専用品種の利用」、「湛水直播技術」、「コンバインベーラ体系」の省力低コスト化技術の導入と、機械負担面積上限の23haを生産することにより可能となる。また、稲わら収集等の他作物へ汎用利用することでTDN単価89円までコスト低減できる(表1)。
  2. 生産・利用対象は、機械の効率的な稼働を実施するために、耕種側をほ場の団地化、作付調整等が行える生産法人等とし、畜産側は中型ロールベールを1日で給与できる飼養規模で、ベールグラブ等の機械を所有している畜産農家が対象となる(表2)。稲発酵粗飼料の導入は、畜産側の意向を把握し、計画段階から利用供給に基づく作付け計画や機械利用計画の合意形成を事前に図る必要がある。
  3. 安定的な取引を継続するためには、現地実証での畜産農家の意向から安定供給と安全な飼料生産の面で「専用品種の利用」、「除草剤以外の農薬を極力使わない」、「単収の確保」、アンケート調査結果よりサイレージ品質の面で「適期収穫」、「ベール内に泥の混入がない」、「梱包巻数4回以上」を製品保証の条件とし、耕種、畜産双方が共通認識することにより信頼関係を深めることができる(図1)。
  4. 現地の定着を図るためには、耕種側は生産法人等の組織化を図り省力低コスト技術を実践する。畜産側は中型ロールベールを1日で給与できる規模とし、アンケート等から受け取りの範囲は1日でサイレージを収納する場合は車で30分以内、ほ場でサイレージを保管する場合は120分の範囲が適当である。機械負担面積23haの広域利用を行うために、作付け計画・機械利用計画等の全体調整を図る調整組織の設置が条件となる(図1)。

成果の活用面・留意点
  1. 飼料イネ生産と利用に取り組む場合の指標となる。

図表1 219642-1.jpg
図表2 219642-2.jpg
カテゴリ 病害虫 除草剤 水田 中山間地域 低コスト 農薬 品種

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