タイトル |
山口県の地域特性に応じた直売所活動の展開方向 |
担当機関 |
山口県農業試験場 |
研究期間 |
2002~2003 |
研究担当者 |
白石一剛
高橋一興
遠藤祐子
原 裕美
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発行年度 |
2003 |
要約 |
都市的地域の直売所は、不足する地場産農産物を供給する役割を果たし、顧客満足を満たすことで出荷者の農業所得の向上を図る。中山間地域の直売所は、地域外の顧客を求心し、商圏を拡大することが重要である。
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キーワード |
直売所、都市的地域、中山間地域、地場産農産物
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背景・ねらい |
地産地消の具体的展開は、地域の構造的な要因や生活者のライフスタイル等により異なると考えられる。本県の直売所は、現在300ヶ所以上が活動しているがその7割は取扱金額500万円未満の小規模な直売所である。県内の直売所の取扱金額は30億円程度で県農 業粗生産額(耕種)の5%、県内青果物生産量の10%、青果物市場外流通量75 %を 占めている。 そこで、本研究では全体の40%程度を占める都市的地域並びに中山間地域の直売所の事例調査により直売所の展開方向について明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 顧客は、中山間地域、都市的地域とも時間に余裕のある50歳代以上が中心であり、車で約20分の範囲の消費人口の差が直売所前後の「立ち寄り先」にみられる顧客層の違いとなっている。特に、「都市的地域」はスーパーとのかけ持ち、「中山間地域」は観光等の余暇の一環、直売所めぐり等が特徴である(表1)。
- 直売所の売り上げを「農業経営の柱」と位置づけている人は、農業収入全体に占める直売所の売り上げ金額の割合が「都市的地域」で58%、「中山間地域」では41%であり、「都市的地域」は、その位置づけや売り上げ金額が高く、「中山間地域」においては売り上げ金額が低くても出荷先の一つとして「農業経営の柱」に位置づけられている(表2)。
- 消費人口を多く抱える「都市的地域」の直売所は、地域自給率が総じて低いため、本県または地域に産地のない「にんじん」、「ばれいしょ」、「たまねぎ」などの出荷量を拡大し、不足している地場産農産物を供給する一つの役割を担っている(表3)。
顧客対面調査から集計した主な要望である「入荷量の安定」、直売所の魅力である「新鮮さ」、「低価格」の顧客満足を満たすことで出荷者の農業所得の向上を図る必要がある。
- 「中山間地域」の直売所は、地域自給率が高いことから、地域外の顧客を求心させ、直売所の商圏を拡大させることが可能である(表3)。直売所運営では、顧客の目的とする地域特産品目の育成を通じ「農業経営の柱」とする出荷者の底上げにつなげる(図1)。地域としては、観光資源や直売所間、地元商工会等との連携により直売所を含む観光のルート化を図る必要がある。
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成果の活用面・留意点 |
- 直売所の運営者や直売所を位置づけた地域活性化の取り組みを目指す関係者の活動の 参考になる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
経営管理
出荷調整
たまねぎ
中山間地域
にんじん
ばれいしょ
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