早生多収なエビイモ栽培用サトイモ新品種候補「京都えびいも1号」

タイトル 早生多収なエビイモ栽培用サトイモ新品種候補「京都えびいも1号」
担当機関 京都農資セ
研究期間 2000~2003
研究担当者 稲葉幸司
田中大三
南山泰宏
発行年度 2003
要約 個体選抜により早生で多収なエビイモ栽培用新品種を育成した。この新品種は、在来系統と比べて芋数が5割多く、子芋が大きくて5割増収可能である。そして、孫芋の形が卵型であり、「こえびちゃん」出荷には非常に適している。
キーワード サトイモ、エビイモ、品種、早生、多収
背景・ねらい 京都の伝統野菜「エビイモ」は、非常に美味しいサトイモとして人気が高く、サトイモの約3倍の価格で取引されている。しかし、晩生品種で10a当たり収量が1t程度と低収であるとともに、土入れや収穫調製に多くの労力を必要とするため生産性が低く、栽培面積は減少傾向にある。一方では、30~70gの丸い孫芋を300g専用袋に詰めた新商品「こえびちゃん」が人気を集めている。
エビイモ在来系統は、唐芋の中から子芋が長くてエビ型になりやすい系統が選ばれてきたため、孫芋の形も細長く、孫芋の数も少ない。そこで、早生で収量性が高く、芋数が多くて孫芋が「こえびちゃん」に向いた卵型の品種を目標に系統選抜する。
成果の内容・特徴
  1. 京都府農業総合研究所で昭和57年から保存していた唐芋系エビイモ保存集団を基に、平成12年から優良個体の選抜を開始し、平成15年に育種目標にかなう系統を選定。
  2. 「京都えびいも1号」は、京都府内で栽培されている在来系統と比較して、生育が旺盛であり、子株の葉が在来系統よりも約10日早い7月初旬には出葉する。葉・葉柄の色・形は、在来系統と変わらない(図1)。葉柄はズイキとして食用に適する。
  3. 子芋の大きさは、在来系統より大きくなり、250g以上の4Lサイズが多い。子芋の形は、土入れ時期と量により大きく変化するが、概して丸くなりやすい傾向がある。子芋・孫芋の数は、在来系統よりも約5割多く、株当たり約30個着生する(表1)。孫芋の形は、卵型であり、「こえびちゃん」には非常に適した形をしている(図2)。
  4. 収量性が高く、10a当たり2~3tの収量があり、在来系統より5割増収が可能である。中でも「こえびちゃん」収量は在来系統の2倍となる(表1)。また、10月初旬から収穫可能な早生品種である。子芋・孫芋の肉質や食味は、在来系統と変わらない。

成果の活用面・留意点
  1. 本品種は早生系であり、土入れ時期を在来系統より約10日早める必要がある。土入れが遅れると「丸」や「セミ」が増えて秀品率が低下する。
  2. 多収性を追求する場合には、窒素施肥量50kg/10a程度の多肥栽培が必要となる。
  3. 本品種は、品種登録出願を予定している。

図表1 219654-1.jpg
図表2 219654-2.jpg
図表3 219654-3.jpg
カテゴリ 育種 さといも 出荷調整 新品種 施肥 多収性 伝統野菜 品種 良食味

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