太陽熱土壌消毒を用いたスイカの1年2回穫りトンネル栽培法

タイトル 太陽熱土壌消毒を用いたスイカの1年2回穫りトンネル栽培法
担当機関 鳥取園試
研究期間 1995~2003
研究担当者 前田英博
亀田修二
山賀規子
竺原宏人
発行年度 2003
要約 1作目のスイカ収穫後に茎葉だけを片づけて、トンネルはそのまま密閉し太陽熱土壌消毒処理を2週間以上実施することで、土壌病害が回避でき、品質良好な果実が得られる実生苗が定植できる。果実はやや小玉となるが、省力低コストで生産可能である。
キーワード スイカ、トンネル栽培、太陽熱土壌消毒、実生苗、省力低コスト
背景・ねらい スイカのトンネル栽培の後作として、キャベツやブロッコリーが栽培されているが、根こぶ病による連作障害が問題視されており、新たな収益性の高い後作品目の選定が望まれている。一方、鳥取スイカは、生産量全国第4位で、市場から日本有数の産地として高い評価を得ている。
そこで、トンネル栽培の後作にもスイカを栽培する1年2回穫り栽培法を確立して、栽培者の収益を高めるとともに、出荷期を拡大し産地強化を図る。
成果の内容・特徴
  1. 1作目を7月上旬に収穫後、茎葉だけを片づけて、2作目は1作目のトンネルをそのまま再利用する。
  2. 2作目定植前にトンネルを密閉し、地温38℃以上(深さ20cm)遭遇の積算時間 100時間以上を目安に太陽熱土壌消毒を行うと、スイカつる割病などの土壌病害の発生を抑え、実生苗で栽培が可能となる(表1、2、3)。目安となる密閉期間は概ね2週間程度である。
  3. 2作目定植は、8月上旬までに1作目の植え穴の反対側に行う。側枝の発生が少ない時期なので、2回摘心し、孫づるを中心に仕立てる(特に小玉品種の場合)。交配は9月上旬、収穫は小玉品種で10月上旬、大玉品種10月中下旬となる。
  4. 2作目の果実はやや小玉となるが、残肥のみで栽培できる。1作目の施肥量はN 11.8-P5
    15.6-K表4)。
  5. 品種は、大玉品種では「縞王マックスK」、小玉品種では「姫甘泉」が最も適する。
  6. この栽培法は、1作目のトンネル資材・マルチを再利用でき、残肥のみで栽培可能である。トンネル準備や片づけが1回ずつに省略でき、交配や換気等の栽培管理も少ない。1作目のトンネル栽培における標準的な経営費(生産原価約30万円/10a、労働時間約 180時間/10a)と比較すると、2作目の生産原価は約50%減、労働時間は約10%減となり、低コストで省力的である。

成果の活用面・留意点
  1. かん水チューブでマルチ内に十分かん水してから、トンネル密閉処理を行う。
  2. 高温期の定植であり、活着するまで萎れやすいので、寒冷紗等で遮光し、適宜株元へのかん水が必要である。
  3. 収穫は遅くとも11月上旬までに終えるよう栽培しなければ、糖度や果肉の着色等、果実の成熟が不良となる。
  4. 2作目は、ウリノメイガ、アブラムシ、ハダニ等の害虫の発生が多く、増殖も早いので、防除を徹底する。
  5. この栽培法は、ハウス栽培においても利用可能と考えられる。

図表1 219657-1.jpg
図表2 219657-2.jpg
図表3 219657-3.jpg
図表4 219657-4.jpg
カテゴリ 病害虫 害虫 キャベツ 経営管理 栽培技術 出荷調整 すいか 施肥 低コスト 土壌消毒 品種 ブロッコリー 防除 連作障害

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