太陽光発電を利用したトマトの小電力型養液栽培装置

タイトル 太陽光発電を利用したトマトの小電力型養液栽培装置
担当機関 京都農総研
研究期間 2001~2004
研究担当者 樫本紀博
発行年度 2003
要約 簡易な太陽光発電装置で稼働するトマトの養液栽培装置は給液に動力を使用していないこと、また栽培ベッドを2層式(下層に養液貯留層を設置)として曇雨天日の消費電力を小さくしたことから小規模の発電装置でも稼働する。
キーワード 太陽光発電、トマト、養液栽培装置、小電力
背景・ねらい 養液栽培は省力的で重労働が少ないことから、女性や高齢者にも適した栽培方式であるが、商用電力の利用が困難な中山間地域などの一部では養液栽培の導入が難しい状況にある。そこで、こうした場所へも導入できる小規模(3a程度)養液栽培装置として、太陽光発電で稼働する小電力型の養液栽培装置を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 太陽光発電装置は太陽電池モジュール、充電制御器、蓄電池、直流交流変換器で構成され、交流100Vで電力供給する。
  2. 栽培装置に使用した電気機器はポンプ(水源から培養液タンクに給水)、ECコントローラ、電動弁、水位センサー(2台)である(図1)。
  3. 培地はロックウールマットで、栽培ベッド(幅35cm、深さ25cm)は防根シートで上下2層に分け、上層を培地、下層を培養液貯留部とする。給液はポンプを使用せず、培養液タンクとベッドの水位差(60~120cm)を利用し、かん水チューブで行う。給液の制御はベッド下層に設置した水位センサーで電動弁を開閉することによる(図1、2)。
  4. 栽培装置の消費電力(3a、750株、1日当たり)は、給液量によって大きく変化するが、最大となる盛夏期でも40Wh(雨天日)~130Wh(晴天日)と小さく(表1)、電力供給に必要な太陽電池モジュールは50W程度である。
  5. 本養液栽培装置でのトマトの生育、収量は慣行の掛流し方式に比べ、高温期(7月下旬以降)で劣る傾向にあるが、6~7月中旬及び11~12月は慣行と同等である(図3)。

成果の活用面・留意点
  1. 本栽培装置は3a規模までを1単位としている。また、かん水チューブは低圧型(0.05~0.1kg/cm2)のものを使用する。
  2. 給液する培養液濃度は、栽培ベッド貯留部の培養液濃度を定期的に測定することによって決める。
  3. ECコントローラは電圧低下によって誤作動しやすいため、他の電気機器と同時稼働しないように配線する。
  4. 栽培装置の価格は、給液装置機材(ECコントローラ等)が約35万円、栽培ベッド資材(750株当たり)が約30万円である。また、50Wの太陽電池モジュールを装備した発電装置の価格は10~15万円である。

図表1 219664-1.jpg
図表2 219664-2.jpg
図表3 219664-3.jpg
カテゴリ 中山間地域 トマト 発電装置 養液栽培

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