樋給水における鉢花シクラメンの「しおれ症状」軽減技術

タイトル 樋給水における鉢花シクラメンの「しおれ症状」軽減技術
担当機関 奈良農技セ
研究期間 2001~2003
研究担当者 角川由加
前田茂一
仲 照史
発行年度 2003
要約 樋給水で栽培される鉢花シクラメンは、給水間隔の調節、粗孔隙量の大きい培養土素材の選択、混合時間の短縮による気相率の確保、施肥窒素濃度の適正な調整等により、根痛みを主要因とする出荷期以降の品質劣化のひとつである「しおれ症状」を軽減することができる。
キーワード 樋給水、鉢花シクラメン、根傷み、品質劣化、しおれ症状
背景・ねらい シクラメンは耐暑性が低く、鉢底から常時水分が供給される樋給水を行うと、夏季以降に根傷みを主要因とする生育障害が発生しやすい。また、この給水方法で栽培される鉢花シクラメンの中には、出荷期以降に品質が急速に劣化するものがあり、消費段階で「しおれ症状」等を呈する場合は特に問題となる。そこで、生産ロスの低減と生産物に対するエンドユーザーの信頼性を高めるため、出荷期以降の品質劣化を軽減するための栽培技術を検討する。
成果の内容・特徴
  1. 樋給水では、常時樋に水を溜め、高水位を保つ給水を行えば生育障害株の発生率が増大するが、低水位の維持(最大水位4cmの樋中の水位を1~2cmに保つ)や、2日に1回間隔の間断給水等により、「しおれ症状」をはじめとする生育障害株の発生率を抑制することができる(図1)。
  2. 日向土、もみがらなどの粗孔隙量の大きい素材の培養土への混合および、混合・撹拌時間の短縮により、飽和容水時の培養土の気相率を20%程度確保すると根傷みが発生しにくくなり、健全に生育させることができる(表1)。
  3. 9月中旬以降の施肥中の窒素濃度を200ppm程度に保つ(鉢上部より施用の場合)ことにより、根傷みの発生が抑制され、「しおれ症状」をはじめとする生育障害が減少する(表2)。

成果の活用面・留意点
  1. 試験では、処理区間の差を明確にするため、6月の鉢上げ直後より生育終期まで樋給水で栽培したため、生育障害株の発生率は通常の栽培に比較してやや大きい(図1)。
  2. 根傷みに起因する生育期間中の生育障害の発生と、出荷直前から観賞時にかけて見られ「しおれ症状」の発生には関連性が見られる(データ省略)。
  3. 施肥頻度は1週間~10日に1回とし、鉢上部より100~200mlを施用する場合、窒素濃度が400ppm以上にならないように注意する。また、リン酸濃度は同様に施肥を行った場合、800ppmまで高めても生育障害は発生しない。

図表1 219681-1.jpg
図表2 219681-2.jpg
図表3 219681-3.jpg
カテゴリ 栽培技術 シクラメン 出荷調整 施肥 耐暑性

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