タイトル |
「大津四号」は夏季せん定を伴わない春枝母枝利用の交互結実栽培法が有利 |
担当機関 |
山口大島柑きつ試 |
研究期間 |
1997~2004 |
研究担当者 |
岡崎芳夫
宮田明義
池田行謙
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発行年度 |
2003 |
要約 |
「大津四号」では、夏季せん定を伴わない春枝母枝を利用した交互結実栽培によって、夏季せん定による夏枝母枝を利用した交互結実栽培と同等に商品性の高いS~L階級果実の安定生産が可能であり、省力化の面から夏季せん定方式より有利である。
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キーワード |
高糖系ウンシュウ、大津四号、交互結実、春枝母枝
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背景・ねらい |
水田転換園等の肥沃園地においては夏枝に着果させる、いわゆる夏季せん定方式による交互結実栽培法により、「青島温州」では成果が得られ普及しつつある。しかし、同じ高糖系ウンシュウの珠心胚実生系品種である「大津四号」では、夏季せん定の強弱の影響が出やすく、生産現場では結実が不安定である。そのため、「大津四号」において、夏季せん定を伴わない春枝母枝利用による交互結実法を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 樹冠容積は春枝母枝による交互結実では夏枝母枝による交互結実と同等で、慣行栽培に比べて大きい(表1)。
- 春枝母枝利用による交互結実の生産樹及び遊休樹の平均収量は、夏枝母枝による場合および慣行結実とほぼ同等である(表1)。
- 果実の階級構成、特にS~L階級果率は、春枝母枝による交互結実では夏枝母枝による交互結実と同等で、慣行栽培の約1.7倍と高い(表2)。
- 糖酸等の果実品質には結実形態による差は認められないが、浮皮の発生は、春枝母枝による交互結実では夏枝母枝による場合と同様に、慣行栽培に比べて少なくなる(表3)。
- 「大津四号」における春枝を利用する交互結実栽培法は、夏季せん定やその後のミカンハモグリガの防除を必要としないこと、および上記の結果から夏枝利用の交互結実栽培に比べて有利である。
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成果の活用面・留意点 |
- 水田転換園等の肥沃地および夏枝が発生しづらい傾斜地園や乾燥園など、いずれの園地にも適用できる。
- 春枝を利用した交互結実を開始するには、初年度はフィガロン乳剤による全摘果や夏季せん定が省力的である。なお、その後の遊休樹設定では10月末までに全摘果を行えばよい。
- せん定は遊休年のみ行い、慣行せん定に準じて軽めに行う
- 施肥体系は生産樹および遊休樹とも夏季せん定方式に準ずる。また、防除体系は生産樹では慣行栽培に準じ、遊休樹ではミカンハモグリガの防除は不要、他は夏季せん定に準ずる。
- 更なる高品質果実生産のためにはシートマルチ栽培との組合せが望ましい。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
乾燥
傾斜地
省力化
水田転換園
施肥
品種
防除
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