タイトル |
七面鳥による果樹園の雑草抑制効果 |
担当機関 |
滋賀農総セ |
研究期間 |
2002~2003 |
研究担当者 |
海老原豊
中西幸司
藤田 耕
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発行年度 |
2003 |
要約 |
七面鳥を梨園に50m2に1羽の密度で放鳥することにより、刈り払い機と除草による慣行の除草管理と同程度に雑草を抑制管理できる。
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キーワード |
七面鳥、雑草抑制、果樹園
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背景・ねらい |
滋賀県ではサルによる農作物の被害が年々増加しており深刻な問題となっている。そのため家畜を使ってサルを追い払う猿害回避法の一つとして、梨園において七面鳥を用いた試験を行ったところ、鳴き声等による猿害回避効果とともに採食や踏圧による雑草を抑制する効果が見られた。 そこで再度、梨園における猿害回避試験に併せて、除草作業の省力化を目的とした雑草抑制効果を明確にするため、適正な飼育密度羽数と飼養管理方法を検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 800m2の梨園を用い、七面鳥(10カ月齢の胸広青銅緑種)を放鳥する。抑草効果の差異を見るため34m2/羽区(♂4羽♀3羽)と52m2/羽区(♂1羽♀2羽)を設定する。また、同園内に対照区として慣行除草区(月1回の頻度で、刈り払い機での除草と園周辺部に除草剤を散布)と無除草区を設ける。
- 放鳥時~4週間は飼料の無給与飼育とし、4週以降は採卵鶏用配合飼料を60g/日・羽で制限給与する。
- 放鳥時の梨園には1m2当たり生草重量で1,504gの雑草が繁茂していたが、放鳥8週後の調査では雑草量が無除草区が1,429g(写真1)であるのに対し、慣行除草区が681g、52m2/羽区が305g(写真2)、34m2/羽区が26gとなる(図1)。
- 七面鳥の体重は放鳥後3週で減少し、8週後に回復傾向を示すがその減少率は52m2/羽区の方が低い(表1)。
- 期間中の七面鳥飼育(52m2/羽)にかかる経費は、飼料費、飼育器具費、作業手間賃などを合わせて7,173円/10aとなる。また、慣行除草の経費は、除草剤費、小農具費、作業手間賃などを合わせて7,290円/10aとなる。
- 七面鳥の果実に対する食害は見られない。落下した果実を食べる行動は見られる。
- 50m2に1羽の飼育密度で、配合飼料を1日1羽当たり60g程度に制限給餌することで、七面鳥の体重を維持しながら慣行管理と同程度に雑草を管理できる。
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成果の活用面・留意点 |
- 七面鳥の放鳥はキツネ、野犬、野鳥等の侵入を防ぐため、防鳥ネット等で覆われた圃場に限られる。
- 期間中の園内へのサルの侵入、食害は見られなかったことから、猿害回避効果も期待できるが、七面鳥の猿害抑制効果は猿の馴れとともに次第に薄れていくことも考えられる。
- 七面鳥の抑草効果がもたらす梨の低農薬栽培化、卵・肉の利用などの付加価値が期待でき、七面鳥の飼育方法をマニュアル化することで、山間地梨園での普及が期待できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
雑草
飼育技術
省力化
除草
除草剤
鶏
農薬
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