タイトル |
マイクロドロプレット法によりガラス化保存した牛初期胚の簡易融解希釈技術 |
担当機関 |
徳農技セ畜産研 |
研究期間 |
2002~2003 |
研究担当者 |
笠井裕明
福見善之
立川 進
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発行年度 |
2003 |
要約 |
マイクロドロプレット(MD)法によりガラス化保存させた牛体外受精由来胚は人工授精用ストロー内で保存後、そのまま融解希釈し10分間保持しても高い生存性を示す。
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キーワード |
ウシ、繁殖、ガラス化保存、初期胚、生存率、
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背景・ねらい |
超急速ガラス化法で保存された牛初期胚の融解後の生存性は高く、また、移植後の受胎率も高い。ガラス化保存胚の簡易移植技術の開発を目的に、マイクロドロップレット(MD)法によりガラス化保存した牛体外受精由来胚のストロー内での融解希釈方法について検討する。
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成果の内容・特徴 |
- MD法で超急速ガラス化保存した牛体外授精由来胚を人工授精用ストロー(0.5cc)内に保存し、農家の庭先で融解しストローからダイレクトに受胚牛の子宮へ移植することを目的に、MD法により保存したガラス化保存胚のストロー内での融解希釈方法について、従来法と比較検討する。
- ガラス化液にEFS40を用い、従来の受精卵移植用ストロー(0.25cc)に胚盤胞期(Blast)の牛体外受精由来胚を封入しガラス化保存させ、融解希釈後ダイレクトにストローより受胚牛へ胚を移植する既存の簡易移植法について、融解後のストロー内での胚の保持時間と生存率について検討した結果、希釈液に20%牛胎子血清(FCS)添加PBSを用いた区は、保持時間の延長とともに生存率が低下し、10分保持後の生存率は56.7%、0.3Mシュクロース(Suc)添加区では40.0%である(表1)。なお、融解保持操作は38.5度の温湯中で融解させ、融解後は38.5度の加温板上で保持し、回復培養は10%FCS添加199培地を用いたマウス胎子線維芽細胞との共培養である。
- ガラス化液に20%ジメチルスルフォキシド(DMSO)-20%エチレングリコール(EG)-0.6MSucを用いてMD法によりガラス化させた体外受精胚を、あらかじめ希釈液を吸引し凍結させた人工授精用ストローに封入し、38.5度の温湯中で融解後10分間ストロー内でガラス化液を希釈し胚を保持した後の生存率は、希釈液に20%FCS-PBSを用いた区が96.7%、0.1MSuc添加区が89.6%、0.3MSuc添加区が71.4%である(表2)。
- ガラス化液に20%DMSO-20%EG-0.6MSucを用いた、移植実績のあるカットストロー法(CS法)によるガラス化保存胚と生存性を比較した結果、MD法によるガラス化保存胚のストロー内融解希釈法の生存率及び脱出率は同程度である(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 融解後の生存性について検討した結果であり、移植試験は実施していない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
受精卵移植
繁殖性改善
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