香味に優れる極早生玉露用新品種候補「53- 7」

タイトル 香味に優れる極早生玉露用新品種候補「53- 7」
担当機関 京都府立茶業研究所
研究期間 1975~2002
研究担当者 荻 安彦
上辻久利
神田真帆
大串卓史
発行年度 2003
要約 極早生で香味に優れる玉露用新品種「53- 7」を育成した。萌芽期及び摘採期は「さみどり」に比べ7日早く、樹姿は直立型で樹勢がやや強く株張りが大きい。製茶品質は「さみどり」と同様に良質で、特に香味に優れる特徴を有する。
キーワード チャ、極早生、玉露用品種、香味、良質、「53- 7」
背景・ねらい 京都府で生産される玉露は、高級な“宇治茶”ブランドの代表格であり、それらは京都府で育成された「ごこう」、「さみどり」などの優良品種の寄与するところが大きい。しかし、これらの品種はいずれも中生種であり、摘採適期の拡大による高品質・安定生産の観点から、早生で良質な玉露用品種の育成が望まれている。
成果の内容・特徴
  1. 育成経過
    「53- 7」は、1975年に採種した「さみどり」の自然交雑種子から選抜した系統である。1979年から系統比較試験、1993年からは現地適応性試験を実施し、栽培形質・品質特性ともに優れているため、2004年に種苗登録申請を行うこととした系統である(写真1)。
  2. 特性の概要
    (1)萌芽期及び摘採期は「さみどり」に比べ7日早い極早生種である(表1)。
    (2)挿し木発根性及び初期生育は「さみどり」より優れ、均整度も高い(表1)。
    (3)樹姿は直立型だが「さみどり」に比べ樹勢がやや強く株張りが大きい(表1)。
    (4)収量構成は「さみどり」に比べ新芽数が多く百芽重がやや軽い芽数型である(表2)。
    (5)新葉は緑色でやや大きく、葉厚がやや厚い(表2)。
    (6)成葉は「さみどり」に似て淡緑色で大きさは中、形は長楕円形である(表2)。
    (7)耐病性は炭疽病に中、輪斑病には強である(表1)。
    (8)生葉収量及び製茶品質は「さみどり」とほぼ同等で優れる。特に、内質は香気が強く、新鮮味があるなど香味に優れる特徴を有している(表3)。

成果の活用面・留意点
  1. 本「53- 7」は良質な極早生玉露用品種であり、京都府内の玉露生産地域で早期出荷による高値取引が期待できるとともに摘採適期の拡大による労力分散が図れる。
  2. 萌芽期が非常に早いので万全な防霜対策が必要である。
  3. 弧状仕立て栽培を行う場合は、成園になるとやや葉が小さくなりやすいので適切な整せん枝と肥培管理を行う。

図表1 219752-1.jpg
図表2 219752-2.jpg
図表3 219752-3.jpg
カテゴリ 挿し木 出荷調整 新品種 炭疽病 肥培管理 品種

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