タイトル |
覆い下自然仕立て茶園におけるクワシロカイガラムシの防除適期予測 |
担当機関 |
京都府立茶業研究所 |
研究期間 |
2002~2003 |
研究担当者 |
荻 安彦
灰方正穂
福永晃士
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発行年度 |
2003 |
要約 |
覆い下自然仕立て茶園において、周辺地域の気温データから被覆などの栽培条件によって温度を補正し、有効積算温度を算出することにより、クワシロカイガラムシ防除適期である幼虫ふ化最盛期が予測できる。
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キーワード |
チャ、クワシロカイガラムシ、自然仕立て茶園、有効積算温度、防除適期
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背景・ねらい |
クワシロカイガラムシは、幼虫ふ化期の薬剤散布による防除効果が高いが、茶株内に寄生するため、発生状況が把握しにくい。また、防除適期の幅も短いことから、防除時期を逃してしまうケースが多い。 そこで、有効積算温度による防除適期予測法について、京都府内で多く行われている自然仕立て茶園での適合性を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 防除適期予測法(表1)は、クワシロカイガラムシの発育と気温の関係から導きだされている。自然仕立て茶園おいては、一番茶生産期の栽培過程で、一重被覆、二重被覆、番刈り等の作業を行うため、気温とクワシロカイガラムシ生息域(茶株内)の温度との関係が大きく変化する。そこで茶園周辺の気温と茶株内温度を測定、比較することにより、それぞれの栽培過程に応じた気温との補正式を時期別に導き出せる(表2)。
- 防除適期予測法の有効積算温度を気温と茶株内温度の補正式(表2)によって求めたふ化盛期の推定日は、実測日と1~4日の差であり、覆い下自然仕立て園において、防除適期予測法の適合性が認められる(表3、4)。一方、補正式を使用しない場合には、実測日と推定日に第1世代で10日以上の差が認められた(表4)。
- 有効積算温度を算出するためには、毎正時の気温データを使用する。気温データを簡易に得るには、茶園近隣のアメダスデータを利用し、茶株内温度への補正を行えば、第1世代の防除適期については推定ができる(表5)。
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成果の活用面・留意点 |
- ごく近接地域においても、防除適期の実測日に差が認められることから、防除適期のより正確な推定のためには、茶園または茶株内に温度計を設置する方がよい。
- 有効積算温度は、ふ化盛期を予測するものであり、ふ化盛期の翌日から5日程度が防除適期となる。個別の茶園では予測日にしたがってふ化状況を確認する必要がある。
- 本予測法については、クワシロカイガラムシ三化地帯でのものであり、標高の高い二化地帯には当てはまらない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
病害虫
栽培条件
茶
防除
薬剤
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