タイトル |
ヤマノイモモザイクウイルス(JYMV)によるモザイク病に強いヤマノイモの新品種「山口2号」 |
担当機関 |
徳佐寒冷地分場 |
研究期間 |
1990~2003 |
研究担当者 |
井上興
角田佳則
山本雄慈
松本理
村本和之
大永美由紀
鍛治原寛
陶山紀江
木村一郎
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発行年度 |
2004 |
要約 |
山口県徳地町在来ヤマノイモ(イチョウイモ)から選抜した優良系統に、弱毒ウイルスを導入し、育成した生産性の高い品種である。JYMVによるモザイク病に強く、薯の肥大が優れる。薯の形状は扇型で揃いがよい。
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キーワード |
ヤマノイモ、イチョウイモ、ヤマノイモモザイクウイルス(JYMV)、モザイク病、弱毒ウイルス
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背景・ねらい |
山口県の地域特産物であるヤマノイモ属イチョウイモの形状は不定形の上、JYMVによるモザイク病の感染により収量が低くなるなど問題点が多い。そこで薯の形状を改良するとともに、モザイク病に強い品種を育成する。
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成果の内容・特徴 |
- 育成経過
1990年に山口県徳地町で栽培されているヤマノイモ「徳地在来」から優良系統の探索を行い、収集した8系統から形状が扇形で揃いが良い4系統を選抜し、茎頂培養によりウイルスフリー化した。1991年から1992年までに生育が旺盛で、薯の厚みがあり、形状の優れた1系統を選抜した。1992年から現地栽培ほ場でJYMVの弱毒ウイルスの探索を行い、1998年に選抜した弱毒ウイルス「T-3」を上記選抜系統に接種した。1999年から2003年まで、「T-3」保有選抜系統の干渉効果の安定性及び収量、品質を確認し、2004年に品種登録を出願した。 - 1)弱毒ウイルス「T-3」を保有し、JYMVによるモザイク病に強い(表1)。
2)薯の肥大が優れる(表2)。 3)薯の形状は扇形で揃いがよい(図1)。 4)草姿は徳地在来薯と同様である(表3)。 5)薯の粘りは徳地在来薯と同等である(表2)。 6)弱毒ウイルス「T-3」は、RT-PCR-RFLPにより葉や薯から特異的に検出できる。 - 特性
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成果の活用面・留意点 |
- 品種登録出願中である。(2004年12月6日受理)
- 当面は山口県徳地町において生産拡大を図り、将来的には中山間地域の特産物として県内他地域にも普及する予定である。
- 環境条件によっては、葉に軽微なモザイクが出ることがある。
- 収穫薯にも「T-3」は存在するため、翌年種薯として用いれば、継続してモザイク病の防除が可能である。
- 土壌水分の極端な乾湿を避ける。乾燥防止のため敷きわら等を行い、必要に応じて灌水する。
- 連作を避ける。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
いちょう
乾燥
新品種
生産拡大
中山間地域
品種
防除
やまのいも
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