タイトル |
花柱切断受粉法と胚珠培養を用いたユリ新品種「愛媛農試FL1号」の育成 |
担当機関 |
愛媛県農試 |
研究期間 |
1996~2003 |
研究担当者 |
栗坂信之
淺海英記
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発行年度 |
2004 |
要約 |
「愛媛農試FL1号」は花柱切断受粉法と胚珠培養を利用して、シンテッポウユリとアジアティック・ハイブリッドとの遠縁交雑により育成した品種である。本品種は花形がテッポウユリ型、花色が穏赤紫色で、上向き咲きの切り花用品種である。
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キーワード |
ユリ、遠縁交雑、花柱切断受粉法、胚珠培養
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背景・ねらい |
ユリは愛媛県の花き生産額で第2位の重要な品目である。特に、シンテッポウユリは夏季に比較的容易に栽培できることから水田転作作物として栽培が増加しているが、花色が白色のみのため需要が限られている。そこで、シンテッポウユリに花色や花形が豊富なアジアティック・ハイブリッドなどを交配し、シンテッポウユリの特性を備えた有色系のユリを育成する。
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成果の内容・特徴 |
- 「愛媛農試FL1号」は1997年にシンテッポウユリ「雷山2号」の子房114個にアジアティ ック・ハイブリッドの濃赤色品種「ネロネ」の花粉を花柱切断受粉法により交配し得ら れた547個の胚珠を培養、その後生育、開花した37個体の中から選抜した品種である (図 1)。
- 「ネロネ」と比較して花形がテッポウユリ型であること、花色が穏赤紫色であること等で 区別性が認められる。「雷山2号」とは花色が穏赤紫色であること、つぼみの色が濃赤紫色 であること、内花被に斑点があること、花糸が赤であること等で区別性が認められる。
- 「愛媛農試FL1号」は切り花生産に適し、花径は約12cmの中輪で、花色は穏赤紫色で上向き咲きのテッポウユリ型、草丈は12月定植の促成栽培で約140cmの切り花向きの品種である(表1)。
- 「愛媛農試FL1号」の繁殖はりん片挿しによる栄養繁殖で、りん片1枚あたり約2個の子球 を形成する(表2)。花数は球根周が9cm以上の場合、70%以上で花数が2輪以上となる (表3)。休眠は5℃、10週間の低温処理で打破できる。
- 「愛媛農試FL1号」の開花期は、四国北部(瀬戸内側)平坦部の12月下旬定植の促成栽培(最低気温10℃)で4月上旬、5月下旬定植の露地栽培で7月下旬である。
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成果の活用面・留意点 |
- 「愛媛農試FL1号」は平坦部では促成栽培、中山間地帯では露地栽培が適する。
- 球根の休眠性は詳細な検討を行っていない。
- 葉枯れ病はシンテッポウユリより強、ウイルス病はこれまで発病がない。
- りん片繁殖した子球は露地で7か月間養成すると、約20%が開花球根となる。
- 平成16年10月に品種登録申請を行った。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
栽培技術
受粉
新品種
水田
中山間地域
繁殖性改善
品種
ゆり
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