酒造好適米新品種「山口酒1号」の育成

タイトル 酒造好適米新品種「山口酒1号」の育成
担当機関 山口農試
研究期間 1997~2004
研究担当者 金子和彦
羽嶋正恭
発行年度 2004
要約 「山田錦」とほぼ同熟で、耐倒伏性や収量性に優れた酒造好適米品種「山口酒1号」を育成した。心白は粒の中心部に線状で発生し、砕米は少なく、タンパク質含量及び酒造適性は 「山田錦」並に良好である。
キーワード イネ、山口酒1号、耐倒伏性、収量性、心白、酒造適性
背景・ねらい 山口県では酒造適性が優れる昔の酒米品種「穀良都」を復活させて、県下の酒造会社が銘柄を「長州浪漫」に統一し、特色ある酒づくりを進めている。しかし、「穀良都」は長稈で耐倒伏性が低く、安定栽培が困難であったため、生産農家からは倒伏に強く、栽培しやすい品種が、一方、酒造会社からは酒造適性に優れ、安定供給が可能な県オリジナルの酒米品種が求められている。そこで、「穀良都」の耐倒伏性や収量性を改良し、酒造適性の優れた県オリジナルの酒米品種を育成する。
成果の内容・特徴
  1. 育成経過
    1997年に「穀良都」を母、「山田錦」を片親とする短稈の「西海222号」を父として交配し、系統育種法により育成した品種である。
  2. 特性
    (1)出穂期および成熟期は「山田錦」とほぼ同じである(表1)。
    (2)稈長は「穀良都」、「山田錦」より25cm程度短い。稈は太く、「穀良都」、「山田錦」より耐倒伏性が優れる。穂数は「山田錦」よりやや少なく、草型は穂重型である(表1)。
    (3)収量性は「穀良都」、「山田錦」より高い。玄米千粒重は約25gで、「山田錦」よりやや小さい(表1)。
    (4)外観品質、タンパク質含量は「山田錦」と同程度である(表1)。
    (5)いもち病抵抗性は、葉いもちが「弱」、穂いもちが「中」である(表1)。
    (6)心白は「山田錦」と同様に粒の中心部に線状で発生し、搗精による砕米は少ない(表2)。
    (7)白米の吸水速度は「山田錦」より遅いが、その他の酒造適性は「山田錦」並みである(表3、表4)。また、試験醸造した会社などから製成酒は「淡麗で切れのよい酒である」と評価されている。

成果の活用面・留意点
  1. 2004年12月に品種登録出願しており、県の酒造組合と連携し、需要に対応できる産地の育成に取り組む。
  2. 多肥栽培はタンパク質含量が高まるので避ける。
  3. いもち病は強くないので、適期防除に努める。
  4. 酒米は胴割れ米が発生しやすいので、適期に刈り取り、急激な乾燥を避ける。

図表1 219802-1.jpg
図表2 219802-2.jpg
図表3 219802-3.jpg
図表4 219802-4.jpg
カテゴリ 病害虫 育種 いもち病 乾燥 酒造好適米 新品種 抵抗性 品種 防除

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