ネギ葉身部浸漬法によるネギハモグリバエの殺虫剤感受性検定法

タイトル ネギ葉身部浸漬法によるネギハモグリバエの殺虫剤感受性検定法
担当機関 京都農総研
研究期間 2001~2003
研究担当者 徳丸 晋
発行年度 2004
要約 ネギハモグリバエの殺虫剤感受性は、25℃長日条件(15L9D)下で各種薬液にネギ葉身部を浸漬処理することで室内で検定できる。その結果、幼虫が高い感受性を示した殺虫剤はCVP乳剤、チオシクラム水和剤、シロマジン液剤及びニテンピラム水溶剤である。
キーワード ネギハモグリバエ、殺虫剤感受性、浸漬処理、ネギ、検定法
背景・ねらい ネギハモグリバエは、ネギ、ラッキョウ、ニラに被害を与える害虫として古くから知られている。近年、京都府内の葉ネギ栽培地域においては、ネギハモグリバエが多発し、甚大な被害が生じるようになっている。これまでにも、本種の殺虫剤感受性については調べられてきたが、全てほ場における試験であり、一度に多くの種類の殺虫剤に対する感受性を調べることは困難であった。そこで、ネギハモグリバエ幼虫の殺虫剤感受性検定法を開発するとともに、各種殺虫剤に対する感受性を検討する。
成果の内容・特徴
  1. ネギ葉身部浸漬法によるネギハモグリバエの殺虫剤感受性検定は、以下の手順で行う。
    1)
    あらかじめほ場で育てたネギ(品種:浅黄系九条)葉鞘部を約5cm残して切取り、水を含ませたバーミキュライトを入れたアイスクリームカップ(直径10cm×高さ4.5cm;
    200ml)に1株ずつ移植し、25℃長日条件下(15L9D)の恒温器内で栽培する(図1)。
    2)
    移植後10日程度生育したネギ(草丈約25cm:図2)を、カップのままネギハモグリバエの成虫を約20~30匹放飼したプラスチック飼育ケージ(20cm×20cm×30cm)に入れ、25℃長日条件(15L9D)下に設定した恒温器内で24時間産卵させる。
    3)
    産卵させたネギは産卵条件と同一温度日長条件下に置いて、5日後の2齢幼虫が寄生したネギの葉身部を所定濃度の薬液(展着剤:新グラミン3,000倍液を加用)に10秒間浸漬処理する。
    4)
    処理後は、産卵条件と同一温度日長条件下で飼育し、処理3日後に実体顕微鏡下でネギの葉身部をピンセットで裂き、葉身内の生存幼虫数、蛹化個体数及び死亡幼虫数を計数する。補正死虫率は、無処理の値を対照としてAbbott
    (1925)の方法により求める。
  2. ネギ葉身部浸漬法によってネギハモグリバエ幼虫の補正死虫率が90%以上を示した殺虫剤は、CVP乳剤(98.0%)及びチオシクラム水和剤(98.0%)である。また、補正死虫率が80%以上90%未満となった殺虫剤は、シロマジン液剤(80.9%)及びニテンピラム水溶剤(81.8%)である(表1)。

成果の活用面・留意点
  1. 薬液に浸漬処理したネギ葉身部を与えることで、ネギハモグリバエ成虫の殺虫剤感受性及び産卵摂食活動に対する影響を調べることも可能である。
  2. 脱皮阻害剤など遅効性の剤は、幼虫が蛹化する前に葉を切取り、アイスクリームカップに入れて、成虫が羽化してから判定する。
  3. ネギハモグリバエの殺虫剤感受性は、同属のトマトハモグリバエ、マメハモグリバエ及びナスハモグリバエとは異なるので、殺虫剤の選定には注意する。
  4. ネギハモグリバエに対する農薬登録の際の基礎的資料として利用できる。

図表1 219815-1.jpg
図表2 219815-2.jpg
図表3 219815-3.jpg
カテゴリ 病害虫 害虫 くり トマト なす にら ねぎ 農薬 品種 らっきょう

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