PGPR製剤と肥効調節型肥料を利用したトウガラシの減肥料・増収技術

タイトル PGPR製剤と肥効調節型肥料を利用したトウガラシの減肥料・増収技術
担当機関 京都農総研
研究期間 2001~2004
研究担当者 松本静治
吉川正巳
発行年度 2004
要約 PGPR製剤を育苗時に施用したトウガラシに同製剤を定植時および定植後1ヶ月毎に追施用し、肥効調節型肥料の全量基肥施用で無加温ハウス栽培すると、慣行に比べて窒素施肥量30%削減の条件下でも12%増収する。
キーワード PGPR製剤、肥効調節型肥料、トウガラシ、減肥料、増収
背景・ねらい PGPR(植物生育促進根圏細菌)製剤を利用したトウガラシ栽培では、初期収量が増加するが、増収効果をより長期間に渡って発現させる施用方法の開発が求められている。一方、京都府内の施設野菜栽培圃場では過剰施肥の傾向が強く、減肥料栽培技術の確立が求められているが、栽培者の間には施肥量削減による収量性低下への懸念が強い。そこで、PGPR製剤と肥効調節型肥料を併用することにより、減肥料と増収を同時に達成できる栽培体系を確立する。
成果の内容・特徴
  1. 被覆肥料と化学合成緩効性肥料を窒素換算で7対3の割合で混合し、慣行の施肥基準に比べて窒素成分で30%削減し、全量基肥施用によりトウガラシを無加温ハウス栽培すると、慣行施肥(化学合成緩効性肥料による基肥と速効性肥料による追肥)と同程度の収量で推移する(表1)。また、このときの土壌溶液中の硝酸態窒素濃度は生育前半は慣行施肥と同程度で推移するが、後半には慣行施肥より低くなる(図1)。
  2. 育苗時に加えて定植時にPseudomonas putida CA21株を有効成分とするPGPR製剤(以下、製剤)500倍液への根部浸漬および定植後1ヶ月毎の製剤500倍液の株元かん注(1株あたり200mL 以下、追施用)により、定植後の栽培期間中のトウガラシ根部のPGPR定着菌数は追施用をしない場合と比較して増加し、定植時の水準をほぼ維持できる(図2)。
  3. トウガラシ無加温ハウス栽培の収量は、肥効調節型肥料による減肥と製剤施用(育苗時+追施用)を組み合わせると、窒素施肥量を慣行施肥(製剤無施用)から30%削減させても収穫開始から1ヶ月間の初期収量で20%増加する。また、秋期にも15%の増収効果が発現し、収穫期間全体の収量は12%増加する(表1)。
  4. 肥効調節型肥料による減肥と製剤施用(育苗時+追施用)を組み合わせたトウガラシ無加温ハウス栽培の窒素利用率は53%で、慣行施肥(製剤無施用)の34%と比較して高くなり、植物体に吸収されない未利用分が減少する(表2)。

成果の活用面・留意点
  1. 本成果は約200日の栽培日数(長期穫り)に対して、シグモイド型で180日溶出タイプの被覆肥料を使用した結果である。短期穫りの場合は、その栽培日数を目安とした溶出タイプのものを使用する。
  2. 肥効調節型肥料による減肥と製剤施用を組み合わせた体系では、慣行施肥(製剤無施用)体系と比較して、製剤利用等により資材費が増加するものの、収量増などにより所得は15%増加する。

図表1 219820-1.jpg
図表2 219820-2.jpg
図表3 219820-3.jpg
図表4 219820-4.jpg
カテゴリ 肥料 育苗 栽培技術 栽培体系 施肥 とうがらし 野菜栽培

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