タイトル |
ホウレンソウの年4作3回不耕起連続栽培における新規畑の土壌管理技術 |
担当機関 |
広島農技セ |
研究期間 |
2001~2003 |
研究担当者 |
延安弘行
加藤淳子
國田丙午
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発行年度 |
2004 |
要約 |
水田転換初年目の灰色低地土、未耕の黒ボク土に3年間分の牛ふん堆肥36t/10aを一括施用し、菜種油粕を利用した年4作3回不耕起連続栽培でホウレンソウを栽培すると、堆肥施用作業の省力ができ、期間中の施肥窒素量が1/2で慣行と同程度の収量が得られる。
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キーワード |
ホウレンソウ、不耕起連続栽培、牛ふん堆肥一括施用、菜種油粕、省力
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背景・ねらい |
広島県内のホウレンソウ産地の土壌には、水田転換畑由来の灰色低地土や黒ボク土が多く分布する。一方、新規畑での栽培開始時は、その大部分は、畑地としての土壌理化学性が不良であり、収量が安定しない。また、現行の栽培体系では、堆肥施用、施肥、耕起および整地作業に多くの時間を費やしており、作付回数を制限する一因となっている。 そこで、水田転換1年目の灰色低地土、黒ボク土の新規畑の早期畑地化を目的とし、これまでに開発した菜種油粕を利用した年4作3回不耕起連続栽培による省力的施肥法(耕起・施肥作業の約30%を省力)と3年分の牛ふん堆肥を一括で施用する方法を組み合わせた土壌管理技術を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- ホウレンソウは、年4回作付けし、1作目のみ耕起を行い、その後3作は不耕起で栽培する。施肥は、1作目と3作目の播種前に行うことで施肥、耕起作業を省力する。
- 堆肥は、オガクズ牛ふん堆肥(N:P2O5:K2O(現物%)=0.5:1.5:1.0(水分58%))、肥料は、菜種油粕(N:P2O5:K2O%=5:2:1)を用いる。窒素施用量は、年間40kg/10aとし、堆肥由来の窒素量を除いた量を等量ずつ1作目と3作目前に施用する(表1)。なお、堆肥由来の窒素量は、施用当年では堆肥の全窒素量の20%、2年目以降は10%として算出する。3年分の牛ふん堆肥36t/10aは、1年目の1作目前に一括施用する。
- 牛ふん堆肥の36t一括施用によって、3年(12作)合計の収量は、両土壌とも増加し、特に、4t連用に比べ2年目以降が増える(図1)。草丈、最大葉の葉身長および葉色に差はない(表2)。
- 12作後の跡地作土の理化学性は、両土壌とも同様の傾向を示し、36t一括施用は、4t連用に比べ交換性加里は少なく、塩基飽和度が低くなり、灰色低地土では約100%、黒ボク土では55%である。それ以外はやや多くなる(表3)。また、36t一括施用によりCEC、腐植ともに高まる。仮比重、固相率は、不耕起栽培の36t一括施用は毎作耕起の慣行と大差ない。
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成果の活用面・留意点 |
- 堆肥は、完熟した良質なものを施用する。未熟なものを施用した場合、生育障害を起こす可能性がある。
- 4年目以降の堆肥の施用および施肥は、土壌診断結果(硝酸態窒素、交換性塩基、塩基飽和度等)に基づいて行う。
- 新規畑での結果であるため、既存畑に適用できない。
- 3作目前の菜種油粕の施肥は、発芽障害を回避するため、粒状に加工したものを用い、土壌表面に施用する。
- 土壌病害の発生が予測される場合には、1作目収穫後に土壌消毒を行う。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
加工
栽培体系
水田
施肥
早期畑地化
土壌管理技術
土壌消毒
土壌診断
播種
不耕起栽培
ほうれんそう
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