防虫ネットの利用を主体とした露地コマツナ栽培の減農薬防除体系

タイトル 防虫ネットの利用を主体とした露地コマツナ栽培の減農薬防除体系
担当機関 徳島県立農林水産総合技術センター農業研究所
研究期間 2001~2003
研究担当者 中野昭雄
田中昭人
発行年度 2004
要約 露地コマツナ栽培に発生するキスジノミハムシとアブラムシ類に対しては目合い 0.8mm防虫ネットのトンネル被覆と土壌処理粒剤等を併用する体系が慣行防除より有効である。
キーワード コマツナ、防虫ネット、キスジノミハムシ、アブラムシ類
背景・ねらい 近年、徳島県の吉野川下流域ではコマツナ栽培が盛んに行われている。主に、4~9月の間に栽培され、作期が短いことから生産者は同一圃場に数回、連作を行う。このことから、病害虫の発生は作付を繰り返すほど多くなる傾向があり、特に、キスジノミハムシの食害による品質低下は問題となっている。その対策として目合い1mmの防虫ネット等が利用されているが、キスジノミハムシの侵入防止効果は低く、またコマツナに対する有効な登録薬剤が少ないことから防除に苦慮している。そこで、作付け時期ごとの害虫発生量を調査した上で、目合い0.8mmの防虫ネットの利用を主体とし、必要最小限の殺虫剤処理を併用した減農薬防除体系モデルを策定し、その有効性を検証する。
成果の内容・特徴
  1. コマツナを5~9月の間に露地で無防除で栽培すると、キスジノミハムシ、アブラムシ類、アザミウマ類、モンシロチョウ、コナガ、ハイマダラノメイガ、ハスモンヨトウ、シロイチモジヨトウ、オオタバコガ、ウワバ類、カブラハバチ類、ハモグリバエ類、ハダニ類などの害虫が発生するが、防虫ネットをトンネル被覆した場合でもキスジノミハムシ、アブラムシ類、アザミウマ類、ハダニ類は発生する。しかし、アザミウマ類とハダニ類は年次、地域・圃場によって発生差が大きく、また生産物に甚大な被害を与える事例は少ない(データ省略)。
  2. 目合いの異なる3種類の防虫ネットをトンネル被覆すると、キスジノミハムシによる葉の被害度は目合い0.6mmはいずれの作付け期も低く、目合い0.8mmは目合い0.6mmより高く、特に6~8月作付け期に高くなる傾向がある。目合い1mmは無被覆と同程度で防除効果は全くない(図1)。アブラムシ類の発生量はいずれの目合いの防虫ネットをトンネル被覆しても無被覆よりも多くなる場合があり、侵入阻止効果は不十分である(図2)。 なお、種別では主にニセダイコンアブラムシが発生し、5、9月作付け期にはモモアカアブラムシも発生する。
  3. 目合い0.6mmの防虫ネットをトンネル被覆し栽培すると目合い1mm、0.8mmに比べて葉色が浅く、軟弱徒長となる欠点がある(データ省略)。
  4. 防虫ネットを10a(長さ約50m、畝幅約1.2mの畝が8畝の場合)の圃場で利用した場合、目合い0.6mmでは約300,000円、目合い0.8mmでは約219,000円、目合い1mmでは約208,000円かかる(A社製で試算)。
  5. 露地でコマツナを栽培する場合の減農薬防除体系モデルは表1のとおりである。トンネル被覆する防虫ネットには各種害虫に対する防除効果、品質、コストを鑑み、目合い0.8mmを利用する。この防虫ネットを利用した場合でもキスジノミハムシとアブラムシ類は5~9月作付け期には発生する場合があるので、粒剤を必ず播種時に土壌に処理する。特に、5~6月、9月作付け期にはアブラムシ類の発生が多くなる傾向があるのでジノテフラン粒剤を利用する。粒剤を処理しない4月作付け期とキスジノミハミシの発生が多くなり、アブラムシ類がまれに発生する7~8月作付け期は害虫の発生に併せてアセタミプリド水溶剤で防除する。
  6. 策定した減農薬防除体系モデルの実行は慣行防除(目合い1mm防虫ネットを被覆、殺虫剤を2~3回使用)よりもキスジノミハムシによる被害は低くく、アブラムシ類の発生は少なく、防除効果が高い(図3)。

成果の活用面・留意点
  1. アザミウマ類は年次、地域・圃場によって発生量が多くなる場合があり、その場合にはスピノサド水和剤で防除する。
  2. 9月作付け期にはハスモンヨトウの若齢幼虫がトンネル被覆の外から侵入することがあるので、BT剤、エマメクチン安息香酸塩乳剤で防除する。

図表1 219842-1.jpg
図表2 219842-2.jpg
図表3 219842-3.jpg
図表4 219842-4.jpg
カテゴリ 病害虫 害虫 かぶ コスト こまつな だいこん 土壌処理 農薬 播種 防除 薬剤

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