タイトル |
露地ショウガにおける黄色蛍光灯を用いたアワノメイガの総合的防除 |
担当機関 |
高知農技セ |
研究期間 |
2001~2003 |
研究担当者 |
古味一洋
|
発行年度 |
2004 |
要約 |
露地ショウガにおいて、黄色蛍光灯を栽培初期から収穫期まで終夜点灯し、アワノメイガの被害の多くなる8月以降には、本種の卵寄生蜂類に影響の少ない選択性殺虫剤を併用することで、化学農薬の散布回数を大幅に低減させたアワノメイガの被害防止が可能である。
|
キーワード |
ショウガ、総合的害虫管理、黄色蛍光灯、天敵、卵寄生蜂、選択性殺虫剤
|
背景・ねらい |
アワノメイガは県内露地ショウガ栽培での重要害虫となっており、生育初期に被害を受けると収量、品質への影響が最も大きいことが明らかとされている。しかし、本種に対する有効な発生予察法がないこと、本種3齢幼虫以降は茎内に穿孔し薬剤防除の効果が低いことから防除回数が十数回とかなり多くなっている。このようなことから生産現場では薬剤防除に多くの経費と労力を費やしている。また、環境保全に対する意識の高まりから薬剤のみにたよる害虫防除でなく天敵類や物理的防除を組み合わせた環境保全型農業の推進が強く望まれている。そこで、本種の天敵昆虫や黄色蛍光灯などを組み合わせた総合的防除技術を確立する。
|
成果の内容・特徴 |
- 黄色蛍光灯をショウガの出芽後から収穫期まで(5月下旬~10月下旬)終夜点灯し、アワノメイガ発生量の多くなる8月以降は、本種の天敵である卵寄生蜂類に影響の少ない選択性殺虫剤を組み合わせることで薬剤防除(10回)を行った場合よりもアワノメイガの被害を低減できる(図1)。
- 黄色蛍光灯は圃場全体が1lx以上の照度となるように配置する(図略)。なお、1lx以上の照度を確保するには10a当たり10~12本の蛍光灯(40W直管型)が必要である。
- 7月下旬以降にはアワノメイガの土着天敵である卵寄生蜂類の活動が期待できる(図2)。
- アワノメイガに対しては、BT剤の効果も期待できる(表1)。
- 黄色蛍光灯を設置した場合の10a当たりの年間経費は57,000円程度であり、薬剤防除の経費53,000円と比較してほぼ同等である(表2)。
|
成果の活用面・留意点 |
- 1lxの夜間照明でも悪影響のみられる感光性の強い水稲(ヒノヒカリ等)、ホウレンソウなどが圃場周辺にある場合は遮光板の設置等、影響の出ないように対策を講じる。
- アワノメイガとともに露地ショウガで問題となるハスモンヨトウについても黄色蛍光灯を用いることにより同時防除が可能である(図略)。
- 卵寄生蜂類の発生は7月以降であり、その寄生率も低いことから卵寄生蜂類のみによるアワノメイガの密度抑制効果は期待できない。
- ハスモンヨトウ、オオタバコガに登録がありアワノメイガとの同時防除が可能なBT剤はアワノメイガの卵寄生蜂類に対する影響が少ない。
|
図表1 |
|
図表2 |
|
図表3 |
|
図表4 |
|
カテゴリ |
病害虫
あわ
害虫
しょうが
水稲
土着天敵
農薬
防除
ほうれんそう
薬剤
|