不耕起栽培を取り入れた水稲・麦・大豆5年一巡輪作体系の経済性

タイトル 不耕起栽培を取り入れた水稲・麦・大豆5年一巡輪作体系の経済性
担当機関 鳥取県農業試験場
研究期間 2001~2004
研究担当者 中村 薫
塩美津代
福見尚哉
山下幸司
坂東 悟
安養寺寿一
発行年度 2004
要約 作業省力化効果がある不耕起栽培を取り入れた「移植水稲-移植(または不耕起)水稲-移植(または不耕起)水稲-不耕起大豆-不耕起麦-不耕起大豆」の5年一巡輪作体系(想定する経営耕地面積規模20~30ha)により、500~1000千円の所得向上が期待できる。
キーワード 不耕起栽培、水稲、麦、大豆、輪作体系、経済性
背景・ねらい 地域水田農業の確立が緊急の課題となっており、水稲並びに畑作物の生産性、収益性の向上を図る必要がある。そこで、不耕起栽培を取り入れた水稲・麦・大豆の輪作体系について経済性を検討する。
成果の内容・特徴
  1. 不耕起栽培は、水稲では耕起・代かき・育苗作業等の省力化により、慣行の耕起・移植栽培に比べ土壌改良材散布から除草剤散布までの作業時間が約5割、全期間を通じて約1割短縮される。大豆では耕起・中耕培土作業等の省力化により、中耕培土作業までの作業時間が2割強、全期間を通じて約1割の作業時間が短縮される。二条大麦では耕起作業の省力化により、除草剤散布までの作業時間が1割強、全期間では麦稈処理の省力化も加わって約2割の作業時間が短縮される(表1)。
  2. 不耕起栽培の継続による漏水等を回避するため、2作目大豆跡は水稲移植栽培とし、2年目から3年目にかけては移植または不耕起栽培の水稲を選択し、その後2年連続の畑期間で不耕起大豆を作付け、それぞれの大豆前作での麦作付けを選択する条件で、利益最大となる輪作体系は、保有労働力により異なる。家族経営(保有労働力2.5人)を想定する場合は、「移植水稲-不耕起水稲(一部移植水稲)-不耕起水稲-不耕起大豆-(一部不耕起麦)-不耕起大豆」となる。組織経営体(基幹従事者3人)を想定する場合には、「移植水稲-移植水稲-移植水稲-不耕起大豆-(一部不耕起麦)-不耕起大豆」となる(図1、表2)。
  3. 不耕起播種機、田植機、自脱型コンバイン等を1セット装備する前提での輪作体系の規模は、家族経営の場合、約22ha弱の経営耕地面積(うち水稲約13ha、大豆約9ha)となる。これは慣行の耕起栽培の場合に比べ経営耕地面積に大差はないものの、作業受託面積を慣行の2倍以上(延べ面積約50ha)に拡大するもので、農業所得を経営全体で約1,000千円向上させることが期待できる。同様の条件で組織経営体の場合には、約32haの経営耕地面積(うち水稲約19ha、大豆約13ha)となる。これは慣行に比べ若干経営耕地面積が減少するものの、延べ作業受託面積が約3ha拡大するもので、農業所得に相当する利益(基幹従事者の労賃分を含む利益)を経営全体で約500千円向上させることが期待できる(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 対象地域は、山陰東部の平坦地域で概ね30a区画の基盤整備がなされている排水良好な乾田または半湿田地域である。
  2. 試算結果はあくまでも目安であり、それぞれの経営体ごとに保有労働力、作目構成等に合わせた検討が必要である。
図表1 219856-1.jpg
図表2 219856-2.jpg
図表3 219856-3.jpg
カテゴリ 病害虫 育苗 経営管理 省力化 除草剤 水田 水稲 大豆 土壌改良 播種 不耕起栽培 輪作体系

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