タイトル |
脱渋カキの復渋防止法 |
担当機関 |
しまねの味開発指導セ |
研究期間 |
2003~2004 |
研究担当者 |
松崎 一
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発行年度 |
2004 |
要約 |
カキ「西条」は渋カキであるため、脱渋しても加工段階での加熱処理で復渋し、菓子加工品等への利用は困難であるが、脱渋カキペーストに対し、タンパク質素材を3%以上混合すると復渋は防止できる。
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キーワード |
カキ「西条」、脱渋カキ、渋戻り、タンパク質
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背景・ねらい |
近年、カキ「西条」の生産量が増加する中、これを原料とする加工品の製造量も増加傾向にある。また、菓子処である松江市等においても、地域特産の果実である「西条」を用いた、菓子づくりの要望がある。しかしながらこれまでは、「西条」が渋カキであり、脱渋しても加工段階での加熱処理で復渋するため、菓子加工品への利用は困難であった。そこで、地域特産果実である「西条」の生産拡大につながる、復渋しない脱渋カキの利用方法を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- タンパク質添加による加熱復渋の防止
脱渋カキ利用時には、渋戻りの防止がポイントとなる。製品の製造に不可欠な90℃以上の加熱処理(殺菌工程)や、酸添加による渋戻りは、脱渋カキペースト100に対し、タンパク質素材を3%以上(大豆粉末の場合6%以上)混合することで防止出来る。試験に使用した西条柿ペーストとタンパク質素材の性状を表1に、大豆由来植物タンパク混合時の加熱前後の可溶性ポリフェノール相当量の変化を図1に示す。
- タンパク素材別の復渋防止効果
脱渋カキペーストに表1のタンパク質素材と、L-プロリン(和光純薬工業(株)製試薬特級)を混合し、沸騰水中30分間の加熱処理を行った。最も復渋防止に効果のある素材は、大豆由来植物タンパクで、次いで小麦グルテン、大豆粉末の順で、乾燥卵白の復渋防止効果は低く、L-プロリンについては、加熱処理を行うと容易に復渋する(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 脱渋カキペーストは、酸味の少ない糖質ベースのペーストであるため、あんや菓子生地、ソース等へ利用出来る(写真1、2:試作品例)。
- カキペーストの品質保持は、冷凍貯蔵で1年以上あり、加熱殺菌処理により、常温貯蔵出来る。加熱によりカキの有する明るいオレンジ色が、褐変するので、加熱処理は製品製造時の1度だけとする事が好ましい。
- 粉末状タンパク質素材を使用するに当たっては、菓子生地等へ加水する前に、糖類や小麦粉等と十分に混合した後、加水程度に応じてカキペーストを混合するとダマになりにくく、均一な生地を製造することが出来る。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
かき
加工
乾燥
小麦
生産拡大
大豆
品質保持
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